S3-5 PCPS・左心バイパスにおける選択的抗トロンビン剤アルガトロバンの使用経験

【目的】PCPSや左心バイパスの抗凝固療法には, 一般的にヘパリンが用いられるが, 血小板減少や出血傾向が問題となる. また, ヘパリンによる重大な副作用として, ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)も問題とされている. 当院では, PCPSや左心バイパス時に抗凝固薬にアルガトロバンの使用を経験した. これらの症例をヘパリン使用症例と比較検討したので報告する. 【対象および方法】1989年から1998年までに心臓血管周術期の低心拍出量症候群(LOS)に対してPCPSを施行したアルガトロバン群5例(PA群)とヘパリン群3例(PH群), 胸部下行大動脈置換術にて左心バイパスを施行したアルガトロバン...

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Veröffentlicht in:体外循環技術 2006, Vol.33 (3), p.267-267
Hauptverfasser: 星 利也, 佐藤 尚, 大川 修, 布谷大輔, 兼城悠司, 村上 浩, 幕内晴朗
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】PCPSや左心バイパスの抗凝固療法には, 一般的にヘパリンが用いられるが, 血小板減少や出血傾向が問題となる. また, ヘパリンによる重大な副作用として, ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)も問題とされている. 当院では, PCPSや左心バイパス時に抗凝固薬にアルガトロバンの使用を経験した. これらの症例をヘパリン使用症例と比較検討したので報告する. 【対象および方法】1989年から1998年までに心臓血管周術期の低心拍出量症候群(LOS)に対してPCPSを施行したアルガトロバン群5例(PA群)とヘパリン群3例(PH群), 胸部下行大動脈置換術にて左心バイパスを施行したアルガトロバン群3例(LA群)とヘパリン群3例(LH群)を対象とし, ACT, ドレーン出血量, 血小板数, フィブリノーゲン量を比較検討した. 【結果】ACTはPA群, LA群, LH群が良好にコントロールできた. ドレーン出血量は, PA群, LA群では減少したがPH群, LH群は高値を示した. 血小板数は全群減少したが, PA群, LA群は高値を示した. フィブリノーゲン量は, PA群, LA群が高値を示した. 【考察】本邦ではアルガトロパンがHITに対する唯一の治療薬とされている. PCPSや左心バイパスの抗凝固療法には一般的にヘパリンが用いられるため, HITと診断がされた場合の対策を検討する必要がある. 今回の結果からPCPSや左心パイパスにおける抗凝固薬としてアルガトロバンを使用することにより, HITに対する対応の可能性が示唆された. 【結論】アルガトロバンは, ヘパリンに比べ凝固時間のコントロールは容易であった. また, 凝固作用も十分に得られ, 異常出血を来すことなく, PCPS, 左心バイパスが施行できた. アルガトロバンは, PCPSや左心バイパスにおける抗凝固療法への応用の可能性が示唆された.
ISSN:0912-2664