P2 巨大血栓脳動脈瘤に対し超低体温循環停止にてクリッピング術を施行した一例
【目的】巨大血栓化脳動脈瘤(GA)の治療は現在でも非常に困難である. 長時間に及ぶ一時的血流遮断に対する脳保護を目的に, 体外循環を用いた超低体温循環停止にてクリッピング術を施行した症例を経験したので報告する. 【対象】48歳, 女性. 頭部MRIで部分的に血栓化した腫瘤(20×20×36mm)と, AG, MRA, 3DCTAで右中大脳動脈第一分岐部に脳動脈瘤を認め, 待機的に開頭手術を施行した. 【方法】体外循環は, 大腿動静脈より送脱血を行い, リザーバのバイパスラインを組み込んだ閉鎖回路を利用して開始した. ヘパリン量は300u/kgで, 目標ACTは400から600秒とし, 心エコー...
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Veröffentlicht in: | 体外循環技術 2005, Vol.32 (3), p.344-344 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【目的】巨大血栓化脳動脈瘤(GA)の治療は現在でも非常に困難である. 長時間に及ぶ一時的血流遮断に対する脳保護を目的に, 体外循環を用いた超低体温循環停止にてクリッピング術を施行した症例を経験したので報告する. 【対象】48歳, 女性. 頭部MRIで部分的に血栓化した腫瘤(20×20×36mm)と, AG, MRA, 3DCTAで右中大脳動脈第一分岐部に脳動脈瘤を認め, 待機的に開頭手術を施行した. 【方法】体外循環は, 大腿動静脈より送脱血を行い, リザーバのバイパスラインを組み込んだ閉鎖回路を利用して開始した. ヘパリン量は300u/kgで, 目標ACTは400から600秒とし, 心エコーを用いて心臓の伸展をモニターした. 食道温が20.5℃になった時点でVfとなり, 心筋保護を目的にKCL+マグネゾールを静注後, 心停止とした. 瘤の減圧目的で静脈リザーバに400mL程度脱血し, CVPを下げた. 瘤を切開し, 血栓を超音波メスで吸引, 瘤から出血が始まった時点で循環停止とした. 循環停止中は, 電解質の補正を目的とし, 回路内血液のHFを行った. 【結果】体外循環時間224分, 循環停止時間39分. 術後, 1時間半後に覚醒し, 2日目に気管内チューブを抜去した. CT上, 右大脳基底核に新たな梗塞巣が見られたが, 神経学的脱落症状なく, 64日目に独歩退院した. 【考察】今回, CVPをコントロールするため, 静脈リザーバを使用し, フルヘパリン化で行いACTを高く保つ必要があったが, 今後はソフトリザーバとヘパリンコーティング回路を用い, 完全閉鎖回路によりヘパリン投与量の軽減に努めたいと考える. 【結語】巨大血栓脳動脈瘤に対するクリッピング術において, 体外循環を用い, 超低体温循環停止にすることは脳保護に有用であった. |
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ISSN: | 0912-2664 |