静脈血貯血槽バイパス回路を用いて胸部下行人工血管置換術を施行した1例

【要旨】左開胸アプローチでの胸部下行大動脈瘤手術を施行する際,大動脈遮断ができない場合に体外循環確立が問題となる。当施設では,超低体温循環停止法を用いているが,大腿静脈脱血による落差脱血では脱血不良により,肺動脈脱血などを追加することが少なくない。本症例では,静脈血貯血槽バイパス(VRB)回路を使用した遠心ポンプの強制脱血にて循環停止可能な体温まで冷却することにした。冷却中に心室細動となったところで落差脱血に変更し,心室の過伸展に対応した。その後,冷却中にepiaortic echoで大動脈壁の性状を確認し,横隔膜直下で遮断可能と診断した。循環停止後に遮断してから大腿動脈送血を開始し,高本変法...

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Veröffentlicht in:体外循環技術 2005/06/01, Vol.32(2), pp.193-196
Hauptverfasser: 笹山, 幸治, 南良, 義和, 小川, 正博, 犬塚, 浩章, 井上, 宏隆, 兵藤, 好行, 渡邉, 智, 中根, 亘, 外山, 真弘, 下村, 毅, 高木, 靖, 上田, 裕一
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:【要旨】左開胸アプローチでの胸部下行大動脈瘤手術を施行する際,大動脈遮断ができない場合に体外循環確立が問題となる。当施設では,超低体温循環停止法を用いているが,大腿静脈脱血による落差脱血では脱血不良により,肺動脈脱血などを追加することが少なくない。本症例では,静脈血貯血槽バイパス(VRB)回路を使用した遠心ポンプの強制脱血にて循環停止可能な体温まで冷却することにした。冷却中に心室細動となったところで落差脱血に変更し,心室の過伸展に対応した。その後,冷却中にepiaortic echoで大動脈壁の性状を確認し,横隔膜直下で遮断可能と診断した。循環停止後に遮断してから大腿動脈送血を開始し,高本変法による脳保護を行った。中枢吻合が終了後に人工血管送血を追加し,復温を開始した。吻合部出血がコントロールできたところで,VRB回路を用いて閉鎖式F-Fバイパスとし,適正灌流量を維持することができた。閉鎖式F-Fバイパスを用いたことで,術野や人工心肺回路が煩雑になることなく安全に施行することができた。
ISSN:0912-2664
1884-5452
DOI:10.7130/hokkaidoshakai.32.193