28 静脈貯血槽の気泡捕捉性能の検討

【はじめに】当院では体外循環(CPB)における空気塞栓を起因とする術後の脳神経合併症の予測に経頭蓋超音波検査(TCD)を用いている. TCDでは脳動脈内の気泡, 血栓などの微小栓子がHigh Intensity Transient Signals(HITS)として検出が可能で, 術後の脳障害を予測することが可能である. CPB中に術野から脱血回路に大量に気泡が混入した場合, 脳動脈内でHITSが多数検出され, 術後の覚醒遅延や痙攣などの合併症を経験した. TCDを用いて静脈貯血槽(VR)のエアートラップ能力を検討したので報告する. 【対象および方法】3種類のVR(A-VR, C-VR, O-V...

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Veröffentlicht in:体外循環技術 2003, Vol.30 (3), p.236-236
Hauptverfasser: 田高朋宏, 稲葉敦彦, 三浦吉晴, 榛沢和彦, 北村昌也, 小柳仁
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【はじめに】当院では体外循環(CPB)における空気塞栓を起因とする術後の脳神経合併症の予測に経頭蓋超音波検査(TCD)を用いている. TCDでは脳動脈内の気泡, 血栓などの微小栓子がHigh Intensity Transient Signals(HITS)として検出が可能で, 術後の脳障害を予測することが可能である. CPB中に術野から脱血回路に大量に気泡が混入した場合, 脳動脈内でHITSが多数検出され, 術後の覚醒遅延や痙攣などの合併症を経験した. TCDを用いて静脈貯血槽(VR)のエアートラップ能力を検討したので報告する. 【対象および方法】3種類のVR(A-VR, C-VR, O-VR)を用いて開放型の模擬回路を作製し, 静脈回路に設けた空気の注入口から規定量の空気を注入し, VR出口, 人工肺出口, 動脈Filter出口にてHITSの検出を行った. HITS検出にはEME社製TC2020, 2.0MHzプローブを用いた. 併せてULTRASONIC BUBBLE DETECTOR(BD-100)にて気泡径を測定した. 回路, 人工肺, 動脈Filterは同一とし, 豚血を用いてプライミングを行い, 灌流温36℃, 灌流量4L/minとした. 【結果】3種類のVRから出る気泡の数に有意差は認められなかったが, 気泡径に有意差がみられ, 動脈Filter出口での気泡の数に有意差があった. 人工肺前後では気泡の数に有意差が認められたが, 動脈Filter前後では有意差が認められなかった. 【結論】人工心肺のエアートラップ能力にVRが大きく関与するため, VRの特徴を把握することは重要である. CPB中のHITSモニタリングは術後脳障害予防のため有用である.
ISSN:0912-2664