3 Oxia人工肺の臨床使用経験

【目的】近年, 人工肺の性能や空気除去能力, コーティング材料の使用およびその有用性が報告されている. 今回, JMS社製人工肺Oxia(Oxia)を使用する機会を得たので, 当院で使用してきたXコーティング, テルモ社製人工肺CAPIOXRX-25(RX-25)と比較検討したので報告する. 【対象および方法】2000年6月から2002年4月までに行った開心術症例のうちOxiaを使用した10例(OX群)と, RX-25を使用した6例(RX群)について, 操作性, 充填時の空気除去能, ガス交換能, および血算について比較検討した. 【結果】Oxiaは血液入出ロポートのレイアウトが4パターン選択でき, フリーアームホルダーでより自由な配置が行えた. 充填時の空気除去能はRX-25では非常に容易であったのに対し, Oxiaは人工肺の向きにより流量を4L/minにしても熱交換部の空気除去が行えなかった. ガス交換能は, 終了時のPaO2がOX群410±31.2mmHg, RX群352.3±86.5mmHgと, OX群が若干高い傾向を示したが有意差を認めなかった. 換気血流比(V/Q)は, 0.7～0.8で, PaCO2：35mmHg前後で両群とも有意差は認めなかった. 血小板保存率は, 終了時でOX群96. 4±14.2%, RX群77. 3±27.7%で有意差を認め, OX群が高値を示した. 白血球数は, 開始時OX群がRX群に比べ低値を示したが, その後はむしろ増加傾向にあった. 【結論】Oxiaは自由に配置を変えることができ, 当院にあった最適な取り回しが行えた. 人工肺の向きにより空気除去能に問題が残ったことから構造の改善が求められる. ガス交換能に関してはRX-25と同等の性能を示した. 血小板保存率はOxiaで有意に温存された.