セクション〔7〕人工心肺(5)
座長:関口敦(埼玉医科大学附属病院) 百瀬直樹(自治医科大学大宮医療センター) 26. 脳分離体外循環における脳血流の流量分布の測定および有用性についての検討 森田雅教(慶應議塾大学病院) 27. 弓部大動脈置換手術における25℃循環停止+15℃脳分離体外循環の利点と安全性の検討 玉城聡(帝京大学医学部附属病院) 28. 充填液の違いによる血中サイトカイン濃度の比較-乳酸リンゲル液と酢酸リンゲル液- 豊崎正人(藤田保健衛生大学) 29. MENOX AL6000αの設置方向によるガス交換能への影響 吉田秀人(天理よろづ相談所病院) 30. 脳分離体外循環中の左右脳酸素飽和度測定について 深谷隆...
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Veröffentlicht in: | 体外循環技術 2000, Vol.27 (4), p.46-46 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 座長:関口敦(埼玉医科大学附属病院) 百瀬直樹(自治医科大学大宮医療センター) 26. 脳分離体外循環における脳血流の流量分布の測定および有用性についての検討 森田雅教(慶應議塾大学病院) 27. 弓部大動脈置換手術における25℃循環停止+15℃脳分離体外循環の利点と安全性の検討 玉城聡(帝京大学医学部附属病院) 28. 充填液の違いによる血中サイトカイン濃度の比較-乳酸リンゲル液と酢酸リンゲル液- 豊崎正人(藤田保健衛生大学) 29. MENOX AL6000αの設置方向によるガス交換能への影響 吉田秀人(天理よろづ相談所病院) 30. 脳分離体外循環中の左右脳酸素飽和度測定について 深谷隆史(国立国際医療センター) 本セッションで発表された5題は, 脳分離体外循環3題, 充填液1題, 人工肺結露防止策1題であった. 演題番号26は, 脳血管3分枝へ1ポンプ送血時の各血流量を超音波血流計でモニターし流量を適正にコントロールしている報告で, カニューレサイズにも考慮すべきだが基本的には適正流量が維持でき, 過剰流量および流量不足にも対応できる点で有用なモニターといえる. ただし, 適正流量は温度および個体差により変化するため, 脳組織の酸素需要供給バランスを確認できるモニターを併用したいところである. 演題番号27は, 膀胱温25℃(直腸温27~28℃)で全身の循環遮断を平均60分, 脳は15℃分離灌流で維持することで, 22~23℃で行う場合より体外循環時間が短縮できるという報告だった. 最近では28℃で循環遮断安全限界時間60分という報告があるものの, 安全限界時間は今だ議論のある問題である. 組織温が重要な因子となるが, 測定部位が膀胱, 直腸だけでは不充分で, 脳組織温もモニターすべきと指摘された. 麻酔医の判断で一部の例で鼓膜温をモニターしているとの回答だったが, 体外循環操作者として積極的に脳組織温をモニターすべきであろう. 演題番号30は, 演題番号26の流量中心の調節でなく, 脳酸素消費状況を非侵襲的な酸素飽和度モニターで測定し, 脳灌流を適正に調節しようとする報告であった. 演題番号26, 30どちらも1ポンプ送血で3分枝送血は抵抗まかせの方法で, その不確実性を補うための有用なモニターと思われる. モニターリングは“手技変更の判断根拠となる”だけの信頼性がないと価値がない. その意味で, rSO2がどれだけ信頼される指標となるかが今後の課題であり, さらなる研究を期待したい. 脳分離体外循環3題の発表から, 体外循環を操作する立場として, 全身, 心臓, 脳組織の温度を正しく把握し, それぞれの保護手段を適切に行うことに留意する必要がある. 温度, 灌流量, 酸素消費量をすべてモニターするのが難しい現状では, モニターできるパラメーターの意味をきちんと理解し最大限生かす工夫が重要と思われる. 演題番号28は, 充填液を乳酸リンゲル液から酢酸リンゲル液に変更し, サイトカインおよびアシドーシスの影響を検討した報告で, 肝臓のみで代謝される乳酸に対し, 全身で代謝される酢酸のほうが, 肝保護効果が期待され, 一般輸液でも同様の理由として使用されている. 統計学的な有意差は得にくい検討だが, 差が認められ使用の根拠として引用される記帳な研究であった. 演題番号29は, 人工肺の結露防止のために人工肺の角度およびガス吹送の向きを変えることで解決しようとする報告であった. 今回はガス交換能の評価で, 血液チャネリングなどさらなる検討が必要であるが, 吹送ガスを暖めて送る方法よりも簡便かつ効果があるとの回答で, 開発メーカーの技術部でも検討を進めていることから, 近いうちに承認されることを願っている. |
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ISSN: | 0912-2664 |