72. コミュニケーションの発達を援助する姿勢保持装置の開発
[はじめに] 脳性麻痺児(以下CP児と略す)は, (1)表情, 発声, 発話, ジェスチャーなどの表現活動の障害, (2)言語発達の歪みや遅延, (3)コミュニケーション機会の減少などのコミュニケーション障害を有している. 今回これらの問題に対処する目的で座位姿勢保持装置を開発し, 試行結果をまとめた. [製作におけるコンセプトと工夫点] (1)より良好な表現活動を援助し, (2)知覚象徴機能の発達や概念の発達を促すための能動的な外界探索活動を保障するために体幹部を前面で支持し軽度前傾位で安定させるとともに, 独自のヘッドコントロールバーによって頭部に安定性を与えた. (3)対児者と相互交渉を...
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Veröffentlicht in: | 聴能言語学研究 2002, Vol.19 (3), p.216-216 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | [はじめに] 脳性麻痺児(以下CP児と略す)は, (1)表情, 発声, 発話, ジェスチャーなどの表現活動の障害, (2)言語発達の歪みや遅延, (3)コミュニケーション機会の減少などのコミュニケーション障害を有している. 今回これらの問題に対処する目的で座位姿勢保持装置を開発し, 試行結果をまとめた. [製作におけるコンセプトと工夫点] (1)より良好な表現活動を援助し, (2)知覚象徴機能の発達や概念の発達を促すための能動的な外界探索活動を保障するために体幹部を前面で支持し軽度前傾位で安定させるとともに, 独自のヘッドコントロールバーによって頭部に安定性を与えた. (3)対児者と相互交渉を行う機会を増やし, コミュニケーション意欲を高める援助とするために一般の机や食卓に容易に取り付けられるようにした. [試行方法] 2歳から11歳のCP児22名に保育や治療場面で使用し, ふだん使用している椅子, あるいは保育士や母親の抱っこでの状況と比較した. [結果] (1)の表現活動においては21名に良好なコミュニケーション態度が得られ, よだれの減少や過開口の軽減など口腔機能の改善が17名, 声量や発声持続の改善は13名中6名に認められた. (2)能動的な外界探索活動の主役である上肢機能においては19名に引き込みパターンの減少や両手操作と手指の巧繊性に改善が認められた. 視知覚視覚認知に関することでは16名に注視, 追視能力が向上し手元への注意集中が増した. (3)集団活動場面で使用した3名では全員に積極的な活動参加がみられるとともに, 与えられる音声言語刺激も増加した. [考察] 体幹を前面で支持する前傾姿勢とヘッドコントロールバーによる頭部の安定は, 能動的な活動やコミュニケーション機能の発達援助に有効と考えられる. 今後は従来の後傾位座位姿勢との比較研究を深めたい. |
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ISSN: | 0912-8204 |