D. ことばの遅れた子どもと音楽療法:音楽の活動によって芽生えた行動の変化
[はじめに] 音楽は直接情動に働きかけ, 言葉がない段階や対象に対しても交流をもつことができるため, 言葉が発達する以前のコミュニケーション媒体として使われることがある. そのため言語的コミュニケーションが困難な, 精神発達遅滞や自閉症の子どもに対して使われることが多い. 音楽療法とは, そのような音楽の特性を意図的, 計画的に活用していく活動である. 構造化された音楽活動の場面でコミュニケーションが発展し, 人との関係が増していったケースを紹介をする. [4例] 男児, 自閉を伴う精神発達遅滞, 音楽療法開始時, 5歳11ヵ月(現在2年10ヵ月経過). [初期のようす] 入室後はじっとしてい...
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Veröffentlicht in: | 聴能言語学研究 2001, Vol.18 (3), p.226-226 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | [はじめに] 音楽は直接情動に働きかけ, 言葉がない段階や対象に対しても交流をもつことができるため, 言葉が発達する以前のコミュニケーション媒体として使われることがある. そのため言語的コミュニケーションが困難な, 精神発達遅滞や自閉症の子どもに対して使われることが多い. 音楽療法とは, そのような音楽の特性を意図的, 計画的に活用していく活動である. 構造化された音楽活動の場面でコミュニケーションが発展し, 人との関係が増していったケースを紹介をする. [4例] 男児, 自閉を伴う精神発達遅滞, 音楽療法開始時, 5歳11ヵ月(現在2年10ヵ月経過). [初期のようす] 入室後はじっとしているのが苦手で, すぐ走り回る. 他の子どもの服を引っ張ったり, 叩くこともあった. スタッフには抱きついたりもする. 言葉はなく, 視線は瞬間的に合わせることはあった. 楽器を渡すと投げることが多かった. [セッション内容と結果] 行動と音楽の結びつき:本児の動きに音楽のテンポを合わせ, 走ることから活動を開始した. 静かな音楽(弱い音遅いテンポ)になると[走らない/静かな動き]になり, 動きのある音楽(強い音速いテンポ)になると走り出し, 音楽の変化に合わせた動作が増えた. 特定の楽器歌に興味を示す:バーチャイム"あいうえお星さま" 始まりと終わりの意識:"さよならの歌"ではバーチャイムを使い, 人とゆっくり揺れる活動にした. 始まると身体を揺らし, 終わると止めることが安定した. 音楽の終わりには, [楽器を袋にしまう/最後の歌詞「ね」を発し退室する]行動がみられた. やりとりの構築:"あいうえお星さま"の後半に大人と一緒に楽器を鳴らす場面と人と向き合う空間を設定し, 本児の積極的な活動を引き出した. [考察] 整理された音楽活動の中で本児の動きや興味が刺激され, コミュニケーション能力が促進したことで, 周りの人との関係性が増した. |
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ISSN: | 0912-8204 |