49. 知的障害者の感情表現の理解

[目的] 重度の知的障害者の非言語の不安や訴えを読み取り, 適切に対応する方法を模索するために, 日常の知的障害者の表情やしぐさのVTR録画を用いて調査を行った. (1)知的障害者の感情表現をどのように読み取るか, (2)障害児者との関わりの経験の有無による読み取り方の違いを検討した. [方法] 通所授産施設に在籍する3名の知的障害者の日常場面(作業のようす等)を撮影し, 音声を除いて1場面5-10秒で24場面に編集した. 「言語障害概論」履修中の大学生(66名)と障害児教育に携わる教員(65名)を対象に表情評定を求めた(有効回答率96.9%). 評定者はビデオ画像を見て「喜び」, 「驚き」,...

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Veröffentlicht in:聴能言語学研究 2000, Vol.17 (3), p.195-195
Hauptverfasser: 竹内映子, 飯高京子, 市島民子, 岡崎恵子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:[目的] 重度の知的障害者の非言語の不安や訴えを読み取り, 適切に対応する方法を模索するために, 日常の知的障害者の表情やしぐさのVTR録画を用いて調査を行った. (1)知的障害者の感情表現をどのように読み取るか, (2)障害児者との関わりの経験の有無による読み取り方の違いを検討した. [方法] 通所授産施設に在籍する3名の知的障害者の日常場面(作業のようす等)を撮影し, 音声を除いて1場面5-10秒で24場面に編集した. 「言語障害概論」履修中の大学生(66名)と障害児教育に携わる教員(65名)を対象に表情評定を求めた(有効回答率96.9%). 評定者はビデオ画像を見て「喜び」, 「驚き」, 「不安」, 「訴え」の中から感じたものを選択(複数可)した. 各場面の評定結果を回答の組合せと各反応の割合について検討した. [結果] 「喜び」では単独での回答が6割以上を示した. 「不安」と「訴え」では組合せで読み取られることが多かった. 回答の組合せが複雑でばらつきが多いものは6場面であった. なお, 学生群と教員群の「喜び」場面の評定傾向は類似していた. 1つのカテゴリーが50%を超えた場面数は「喜び」では学生教員ともに4場面, 「不安と訴え」では学生3教員0場面, 「不安」では学生1教員3場面であった. それ以外では両群の評定結果に明らかな差はなかった. 感想に関して, 学生では「短かったので判断が難しい」, 教員では「1人ひとりの表情等についてもっと語り合うことも大切」, 「一瞬を大切にしたい」という日常を振り返る意見が多かった(提示条件については今後の課題である). [考察] 「喜び」は比較的読み取りやすい. 他方, 「不安」や「訴え」の判断は前後の場面や背景などの手がかりが少ないとわかりにくく難しいといえよう. 音声言語による表現手段が限られている知的障害者に対しては, より丁寧に見守る姿勢が大切であり, その意味について周囲の人が確認し合う機会をもつことが重要であると考えられる.
ISSN:0912-8204