23. 口唇裂口蓋裂児の家族に対するSTの関わりについて

[目的] 口唇裂口蓋裂児の家族の抱える問題を把握し, 今後の治療に役立てるために質問紙調査を行い, 家族に対するSTの関わり方を検討した. [対象と方法] 当科で治療中の口唇裂口蓋裂児(平均年齢3歳6ヵ月)の家族62組. 裂型の内訳は唇裂17人, 口蓋裂単独22人, 唇顎口蓋裂23人. (1)告知時術前術後現在の気持ち, (2)病院スタッフの対応, (3)治療に関する疑問の相談相手, (4)STへの要望, (5)その他の要望を無記名, 自由記述で回収した. [結果] (1)告知時は全裂型で「ショックを感じた」が最も多く, 唇顎口蓋裂ではその割合が高かった. 「説明後安心した」割合は唇裂で高く,...

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Veröffentlicht in:聴能言語学研究 2000, Vol.17 (3), p.182-182
Hauptverfasser: 木村智江, 北川裕子, 今富摂子, 加藤正子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:[目的] 口唇裂口蓋裂児の家族の抱える問題を把握し, 今後の治療に役立てるために質問紙調査を行い, 家族に対するSTの関わり方を検討した. [対象と方法] 当科で治療中の口唇裂口蓋裂児(平均年齢3歳6ヵ月)の家族62組. 裂型の内訳は唇裂17人, 口蓋裂単独22人, 唇顎口蓋裂23人. (1)告知時術前術後現在の気持ち, (2)病院スタッフの対応, (3)治療に関する疑問の相談相手, (4)STへの要望, (5)その他の要望を無記名, 自由記述で回収した. [結果] (1)告知時は全裂型で「ショックを感じた」が最も多く, 唇顎口蓋裂ではその割合が高かった. 「説明後安心した」割合は唇裂で高く, 唇顎口蓋裂で低かった. 唇裂唇顎口蓋裂児の家族の多くは術前後で手術と容貌, 現在は歯と容貌を心配していた. 唇顎口蓋裂児の家族は言語への不安も高かった. 口蓋裂単独児の家族の多くは術前に手術, 術後に瘻孔, 現在は言語を心配していた. (2)病院スタッフの対応は「親切」が多かったが, 「不親切」「説明不足」という回答もあった. (3)治療に関する相談相手は担当医, 家族, ST, 親の会の順に多かった. ホームページや他の医師という回答もあった. (4)STには幅広い情報提供と気軽な相談相手の役割が求められていた. (5)その他, 待ち時間短縮や親の会設立などのサービス改善を希望する意見が寄せられた. [考察] 子どもの裂型や時期によって家族の不安は異なる傾向を示していた. STはそれぞれに応じた助言指導を行うことが必要である. 現状では情報提供が不充分なので, 今後は外来での相談や勉強会の開催などを通じて対応したい. また, 相談しやすい環境づくりのため, STの業務をわかりやすく示し, いつでも相談に応じる態度をアピールする努力が必要であると考えた. [謝辞] ご指導いただいた千葉県こども病院形成外科宇田川晃一先生に感謝申し上げます.
ISSN:0912-8204