5. 3歳児から6歳児における複合語アクセント規則の獲得
[はじめに] 音声言語の獲得は, その言語における正確な構音やいわゆる文法規則の習得だけでは不十分である. ある特定の音声環境でみられるプロソディ規則もあわせて身につける必要がある. 本研究では, 東京方言における複合語アクセント規則を取り上げ, 幼児がいかにしてこの規則を獲得していくか調査を行った. [目的] 以下3点を明らかにする. (1)基本的な規則の獲得時期(2)語のモーラ数が規則の獲得時期に与える影響(3)複雑な規則の獲得時期 [方法] 対象者:3歳後半から6歳前半までの健常児109名. 調査語:幼児にとって単独では親密度が高いが, 通常複合語として組み合わされない, 2-4モーラの...
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Veröffentlicht in: | 聴能言語学研究 2000, Vol.17 (3), p.173-173 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | [はじめに] 音声言語の獲得は, その言語における正確な構音やいわゆる文法規則の習得だけでは不十分である. ある特定の音声環境でみられるプロソディ規則もあわせて身につける必要がある. 本研究では, 東京方言における複合語アクセント規則を取り上げ, 幼児がいかにしてこの規則を獲得していくか調査を行った. [目的] 以下3点を明らかにする. (1)基本的な規則の獲得時期(2)語のモーラ数が規則の獲得時期に与える影響(3)複雑な規則の獲得時期 [方法] 対象者:3歳後半から6歳前半までの健常児109名. 調査語:幼児にとって単独では親密度が高いが, 通常複合語として組み合わされない, 2-4モーラの語2つからなる複合語17語(例:「たぬき」+「ねこ」→「たぬきねこ」). 手続き:前部要素後部要素を示す2枚の絵カードを提示し, 一語の複合語の形で発話してもらう. なお, 実際の言語社会ではアクセントの「ゆれ」が許容されていることから, 本調査に先立ち成人27名に対する調査を実施した. 「ゆれ」を含んだ成人の発話パターンをモデルとしてとらえ, 幼児がそれに近づく過程を考察した. [結果とまとめ] 主な結果は以下のとおりである. (1)幼児は複合語の発話が可能となるときには, すでに複合語アクセント規則の基本的枠組みを獲得している. (2)語のモーラ数増加に伴い複合語アクセント規則は安定して適用できる傾向にある. (3)前部要素が関与する複雑な規則に関しては, 前部要素のモーラ数が多いものから先に獲得されるが, 6歳前半でもまだ不安定である. また, 規則獲得の過渡期において幼児がとる方略は, 成人の少数回答とは異なる傾向がみられ, 今後さらなる検討を要する. [謝辞] 本研究に関し, ご指導いただきました上智大学外国語学部教授菅原勉先生に感謝いたします. |
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ISSN: | 0912-8204 |