33. 早期言語管理を行った口蓋裂児のスピーチ

昭和大学言語室では, 出産後まもなく, 来院する口唇裂口蓋裂の患者とその家族に会い, 言語管理を開始している. 今回乳児期から言語管理を行った口蓋裂児の5歳児のスピーチの状態を調べ, 構音障害に関係する要因について検討した. [対象調査方法] 対象はチーム治療を始めた1980年4月から1991年3月の11年間に昭和大学形成外科で初回手術を行った口蓋裂患者のうち, 口蓋の初回手術が10ヵ月-1歳6ヵ月で, 術前から5歳以上まで言語の経過観察が経時的に可能であり, 重複障害が認められなかった口蓋裂患者484例である. 口蓋の初回手術はいずれも粘膜骨膜弁によるpush back法で行った. これらの...

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Veröffentlicht in:聴能言語学研究 1998, Vol.15 (3), p.150-150
Hauptverfasser: 加藤正子, 今富摂子, 木村智江, 岡崎恵子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:昭和大学言語室では, 出産後まもなく, 来院する口唇裂口蓋裂の患者とその家族に会い, 言語管理を開始している. 今回乳児期から言語管理を行った口蓋裂児の5歳児のスピーチの状態を調べ, 構音障害に関係する要因について検討した. [対象調査方法] 対象はチーム治療を始めた1980年4月から1991年3月の11年間に昭和大学形成外科で初回手術を行った口蓋裂患者のうち, 口蓋の初回手術が10ヵ月-1歳6ヵ月で, 術前から5歳以上まで言語の経過観察が経時的に可能であり, 重複障害が認められなかった口蓋裂患者484例である. 口蓋の初回手術はいずれも粘膜骨膜弁によるpush back法で行った. これらのケースの裂型鼻咽腔閉鎖機能瘻孔および乳歯列完了期の歯列形態を調べ, 構音との関係を検討した. [結果] (1)訓練せずに正常構音を獲得した例は280(58%)であり, 残りの204例(42%)は構音障害を示した. 内容は口蓋化構音が最も多く(47%), ついで側音化構音(24%), 声門破裂音(14%)であった. (2)鼻咽腔閉鎖機能は良好例が415(86%), 軽度不全例61(13%), 不全例8(2%)であった. 閉鎖機能が良好な構音障害は側音化構音(97%), 口蓋化構音(90%)であり, 声門破裂音は良好例が31%と少なかった. (3)正常構音を獲得した47%は口蓋裂単独例で最も多く, 両側唇顎口蓋裂は少なく11%だった. 口蓋化構音はほとんどが唇顎口蓋裂例(96%)で, 側音化構音は片側性唇顎口蓋裂が64%と最も多かった. (4)瘻孔があった例は正常構音例の25%であったが, 口蓋化構音例は63%と多かった. (5)重度の歯列変形を示した例は正常構音は19%であったが, 口蓋化構音は41%と多かった. 今後, 手術法の改善を望むとともに早期の言語指導の中で構音障害の予防を考えたい.
ISSN:0912-8204