31. 全体構造法による構音訓練の実際:"身体リズム運動"と"となえうた"を中心に用いて
[はじめに] 全体構造法は主に失語症等の言語障害に対する治療法だが, 小児においては構音を言語から切り離して考えることはできず, 構音訓練に応用した. [訓練の実際] 系統的な構音訓練, つまり, 語音弁別や音節分解同定等の訓練や構音器官の位置づけ法は行わなかった. むやみに構音点を意識させると, 緊張が入り, 不自然な構音運動を導きやすいので避けた. 「話しことばから」という全体構造法の理論にのっとり, 「文字」も用いなかった. 「身体リズム運動」と「となえうた」を中心に週1回30分行った. 第1段階:口の体操と称して構音する自己受容感覚を高めた. 吹く, うがい, 口唇や舌の運動, 母音復...
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Veröffentlicht in: | 聴能言語学研究 1998, Vol.15 (3), p.149-149 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | [はじめに] 全体構造法は主に失語症等の言語障害に対する治療法だが, 小児においては構音を言語から切り離して考えることはできず, 構音訓練に応用した. [訓練の実際] 系統的な構音訓練, つまり, 語音弁別や音節分解同定等の訓練や構音器官の位置づけ法は行わなかった. むやみに構音点を意識させると, 緊張が入り, 不自然な構音運動を導きやすいので避けた. 「話しことばから」という全体構造法の理論にのっとり, 「文字」も用いなかった. 「身体リズム運動」と「となえうた」を中心に週1回30分行った. 第1段階:口の体操と称して構音する自己受容感覚を高めた. 吹く, うがい, 口唇や舌の運動, 母音復唱. 第2段階:目的音素や音節を各音の性質にあった身体リズム運動を用いて導いた. 例, 「か」は「かっ」と肘を胸にぐっと押しつけてすばやく前に伸ばした. 第3段階:1音となえうたを創り, 唱えた. 例, 「か」は「かあかあかあー」とオノマトペや「いーいいーいいーか!」とイントネーションや「かかかっかかかっか」とリズムをのせる等, 同じ音を繰り返し唱えた. 第4段階:対象児の生活状況, 情緒, 興味等の情報を得てとなえうたを創り, 身体リズム運動をつけて唱えた. 例, 「か」では「かうかうあいすかう」「さ」は「あーおいしいあーおいしいこのおそばあーおいしいー」と唱えた. となえうたの数は能力に応じて2題から最高10題とした. その他:最適条件を選択した. うまく聞き取るためにVTフィルターやソフト「花鼓」も使った. 般化にむけて訓練のようすをビデオに撮り見せた. その日の課題をテープに録音し, 家でも聞いて唱えてもらった. [症例] 軽い遅れや吃音を伴う機能的構音障害8例と発達障害を伴う粘膜下口蓋裂2例は, 置換等の複数の誤り音や鼻腔構音, 声門破裂音があったが, 前者は平均6歳1ヵ月で開始し3-20回, 平均10回の訓練で, 後者も短期間で比較的容易に楽しく正しい音が獲得できた. |
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ISSN: | 0912-8204 |