10. 集団訓練への新しい試み:グループダイナミックスに焦点を当てて

[目的] 慢性期集団訓練ではグループの雰囲気や活気が, 参加者の訓練に対する集中力やコミュニケーション意欲を大きく左右する. そこで集団訓練におけるグループダイナミックスに注目した. 今回は, 能力開発的な成長や発達を助長するため, 臨床心理学で用いられているエンカウンターグループを導入した. [方法] エンカウンターグループ(出会い集団)はカールロジャースが提唱した集団療法で, STは集団訓練の場で操作的なアプローチを減らし, ファシリテーター的な役割を担い, メンバーの感情と思考を自由に表現させるように努める. 1996年度の4月から3月の期間, (1)軽度構音障害グループ, (2)軽度-...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:聴能言語学研究 1998, Vol.15 (3), p.138-138
Hauptverfasser: 成田聡子, 沖浦茂子, 金森貴子, 西條一彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:[目的] 慢性期集団訓練ではグループの雰囲気や活気が, 参加者の訓練に対する集中力やコミュニケーション意欲を大きく左右する. そこで集団訓練におけるグループダイナミックスに注目した. 今回は, 能力開発的な成長や発達を助長するため, 臨床心理学で用いられているエンカウンターグループを導入した. [方法] エンカウンターグループ(出会い集団)はカールロジャースが提唱した集団療法で, STは集団訓練の場で操作的なアプローチを減らし, ファシリテーター的な役割を担い, メンバーの感情と思考を自由に表現させるように努める. 1996年度の4月から3月の期間, (1)軽度構音障害グループ, (2)軽度-中度構音障害グループ, (3)軽度運動性失語+構音障害グループ, これらの集団訓練にエンカウンターグループを試行しグループ促進を行い, グループダイナミックスを助長させて課題訓練へとつなげた. [結果] メンバーは互いに尊重し合い同じ思いを共感し, 人格と人格の出会いから結びつきが強まった. ありのままの自分を認めあえ, 感情表出がされやすくなった. 俳句が詠めたり, 作詞作曲など初めての体験ができた. [考察とまとめ] STがフロアーメンバーの一員となリファシリテーター的な役割を担ったことにより, 参加者の主体性が上がり, 精神活動のためのエネルギーが, 集団の中から補給されたと考えられる. このことから集団訓練という環境は, 人格と人格の出会いの場になり, 集団欲求等の基底欲求が充足されたとき, 参加者のパーソナリティー変化をもたらすほどの, パワーを秘めているのではないかと推察される. 引き続き, 集団訓練におけるグループダイナミックスについて, グループと個人の成長発達の視点から, 可能性をさぐっていきたい.
ISSN:0912-8204