言語聴覚士による「吃音」出前授業の実践を通して障害理解教育を考える

本論文は,臨床のアウトリーチとして行っている「出前授業」を通してみえてきた意義と課題を論じている。授業のねらいを①対象を吃音児だけでなく,すべての児童・生徒を対象とし,吃音の正しい知識を伝える,②吃音への一方向的な理解・思いやりを育てる授業ではなく,人間にはちがいがあることを学び,人間への理解を深める,③ちがいがある人間を尊重することに繋げる,としている。なぜ吃音を正しく知る必要があるのか。それは,吃音症状を悪化させないためなのであるが,さらに,〔ちがい〕を正しく知ることは,〔ちがい〕を互いに認め尊重し合って生きていくことに繋がると考えるからである。障害理解教育において,実践者が十分な知識と態...

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Veröffentlicht in:コミュニケーション障害学 2022, Vol.39(2), pp.97-104
1. Verfasser: 内藤, 麻子
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:本論文は,臨床のアウトリーチとして行っている「出前授業」を通してみえてきた意義と課題を論じている。授業のねらいを①対象を吃音児だけでなく,すべての児童・生徒を対象とし,吃音の正しい知識を伝える,②吃音への一方向的な理解・思いやりを育てる授業ではなく,人間にはちがいがあることを学び,人間への理解を深める,③ちがいがある人間を尊重することに繋げる,としている。なぜ吃音を正しく知る必要があるのか。それは,吃音症状を悪化させないためなのであるが,さらに,〔ちがい〕を正しく知ることは,〔ちがい〕を互いに認め尊重し合って生きていくことに繋がると考えるからである。障害理解教育において,実践者が十分な知識と態度を備えておかなければ,子どもたちの中に間違った「障害者像」を作ってしまう危険性があるため,専門家に限らず〔誰もが扱うことができる授業〕を作成し,広げていくことの必要性を述べている。
ISSN:1347-8451
1884-7048
DOI:10.11219/jjcomdis.39.2_97