語用論的コミュニケーション評価尺度の開発 : 日本語版Pragmatic Rating Scaleの信頼性

本研究の目的は, わが国でも使用可能な語用論的コミュニケーションの観察式評定尺度を作成することである. まず, 欧米の語用論的コミュニケーション評価尺度をできるだけ多く取り寄せ, 慎重に内容を吟味した. そしてMacLennanほか(2002)のPragmatic Rating Scale (PRS)を選定し, 翻訳と逆翻訳を経て日本語版(試案)を作成した. 次に, 信頼性の検証のため, 脳損傷により認知コミュニケーション障害の特徴を呈した24例のコミュニケーション行動を録画したVTRを作成し, 言語聴覚士3名に, それを再生しながら上記尺度を用いて評定するよう求めた. その結果, 原版と同様...

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Veröffentlicht in:コミュニケーション障害学 2015-04, Vol.32 (1), p.11-19
Hauptverfasser: 藤本憲正, 中村光, 伊澤幸洋, 津田哲也, 栗林一樹
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:本研究の目的は, わが国でも使用可能な語用論的コミュニケーションの観察式評定尺度を作成することである. まず, 欧米の語用論的コミュニケーション評価尺度をできるだけ多く取り寄せ, 慎重に内容を吟味した. そしてMacLennanほか(2002)のPragmatic Rating Scale (PRS)を選定し, 翻訳と逆翻訳を経て日本語版(試案)を作成した. 次に, 信頼性の検証のため, 脳損傷により認知コミュニケーション障害の特徴を呈した24例のコミュニケーション行動を録画したVTRを作成し, 言語聴覚士3名に, それを再生しながら上記尺度を用いて評定するよう求めた. その結果, 原版と同様の方法で算出した評定者間信頼性の値は原版と同等で, weighted κ係数による全項目平均は評定者間0.66, 評定者内0.83と十分に高かった. 日本語版PRSは臨床で有用な評定尺度である可能性が高いと考えた. 高次の妥当性の検証が今後の課題であろう.
ISSN:1347-8451