H-2. 聴覚障害児における表出語彙の発達:日本語マッカーサー乳幼児言語発達質問紙を用いて

【目的】 聴覚障害児の言語発達において, 語彙の獲得は重要課題である. しかし, 実際の指導で使用する単語の種類や獲得の順序については具体的な資料はほとんどない. 今回, 聴覚障害児と健常児に対して日本語マッカーサー乳幼児言語発達質問紙を実施し, その結果から指導への手がかりを得たので報告する. 【方法】 健常児・聴覚障害児への日本語マッカーサー乳幼児言語発達質問紙の実施をした. 対象児は当院で言語訓練を受けている生活年齢(以下CA)48~56mの聴覚障害児10名と, 保育園に通園している20~33mの健常児16名である. 【結果】 「動作語」の表出について両対象児の上位40語について内容を比...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:コミュニケーション障害学 2009, Vol.26 (3), p.211-211
Hauptverfasser: 高松祥子, 石川美子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】 聴覚障害児の言語発達において, 語彙の獲得は重要課題である. しかし, 実際の指導で使用する単語の種類や獲得の順序については具体的な資料はほとんどない. 今回, 聴覚障害児と健常児に対して日本語マッカーサー乳幼児言語発達質問紙を実施し, その結果から指導への手がかりを得たので報告する. 【方法】 健常児・聴覚障害児への日本語マッカーサー乳幼児言語発達質問紙の実施をした. 対象児は当院で言語訓練を受けている生活年齢(以下CA)48~56mの聴覚障害児10名と, 保育園に通園している20~33mの健常児16名である. 【結果】 「動作語」の表出について両対象児の上位40語について内容を比較したところ24語(60%)が共通していた. 健常児の上位にはみられて聴覚障害児にみられなかった語彙は‘読む’, ‘脱ぐ’, ‘着る’, 履く’だった. 聴覚障害児の上位に挙がった語彙は‘走る’, ‘転ぶ’など4歳児の身体発達を示す語彙や, ‘欲しい’, ‘好き’など豊かな感情表現を示す語彙が特徴的だった. 「ようす・性質」では両対象児の上位35語について比較したところ27語(77%)が共通していた. 聴覚障害児は多種類の色名や‘元気’, ‘明るい’などの表出が先行していた. 「位置と場所」は上位10語について比較したところ, 6語(60%)が共通していた. 健常児は‘まん中’, ‘横’, ‘隣’が, 聴覚障害児は‘右’, ‘左’の獲得が早かった. 【まとめ】 聴覚障害児の言語指導において, 健常児と同様の語彙獲得を促すのも大切だが, CA・VAの発達を考慮した課題の検討が必要と考える. また, きこえづらいことに起因する, 語彙獲得の遅れの要因を検討することができたので, 今後の訓練に取り入れ生かしていきたい.
ISSN:1347-8451