M-6. 重症心不全・移植病棟入院患者へのSTの関わり

2008年春, 国内の心臓移植は50例に達した. うち22例を実施した国立循環器病センターには, 移植待機中および移植後の患者の専門的治療を目的とした日本初の重症心不全・移植病棟がある. 本病棟入院患者へのSTの関わりについて報告した. 【対象】 対象は2001年3月(病棟開設)から2008年3月までの間にST依頼があった18例(男性12例, 女性6例, 年齢18~56歳)である. 原因疾患は拡張型心筋症16例, その他2例で, 補助人工心臓装着中16例, 離脱後1例, 移植後1例であった. 【ST依頼(一部に重複あり)】 ST依頼の理由は, 失語症4例, 構音障害3例, 失語症以外の高次脳機...

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Veröffentlicht in:コミュニケーション障害学 2008, Vol.25 (3), p.244-244
Hauptverfasser: 大畠明子, 上田泉
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:2008年春, 国内の心臓移植は50例に達した. うち22例を実施した国立循環器病センターには, 移植待機中および移植後の患者の専門的治療を目的とした日本初の重症心不全・移植病棟がある. 本病棟入院患者へのSTの関わりについて報告した. 【対象】 対象は2001年3月(病棟開設)から2008年3月までの間にST依頼があった18例(男性12例, 女性6例, 年齢18~56歳)である. 原因疾患は拡張型心筋症16例, その他2例で, 補助人工心臓装着中16例, 離脱後1例, 移植後1例であった. 【ST依頼(一部に重複あり)】 ST依頼の理由は, 失語症4例, 構音障害3例, 失語症以外の高次脳機能障害6例, 摂食・嚥下障害9例, その他2例であった. 【STの関わりと期間】 (1)失語症・構音障害:コミュニケーション手段の確保が必要な重症例から, 移植後の生活・自己管理を想定した助言を行う軽症例まで, 最長27ヵ月に及ぶ多彩な訓練を行った. (2)高次脳機能障害:記銘力, 知的機能などの評価を行い, ニーズに応じて最長8ヵ月の訓練を行った. (3)摂食・嚥下障害:人工呼吸・器管理例を含む気管切開の患者の嚥下機能評価, 経口摂取の工夫などを最長9ヵ月にわたり指導した. (4)その他:元々の言語障害についてのカウンセリングや移植後の記銘力検査を行った. (1)~(4)に共通して, 関連職種や家族に症状の説明や関わり方の指導を行った. 【考察】 移植待機中に脳血管障害などを発症した患者へのSTの関わりは長期にわたり, 状態の悪化や死亡で終了となることもあった. 移植待機中という特殊な身体的・精神的状況のため, リハビリテーションには難渋することが多かった. 個々の症例に適した細やかな対応には関連職種との連携が不可欠であった.
ISSN:1347-8451