K-1. コミュニケーション発達を促すポジショニングの検討
【はじめに】 脳性麻痺児(以下CP)や知的障害児の治療に関わるSTは姿勢保持能力の発達が認知・コミュニケーション発達の背景として重要であることを理解しているが, 適切な姿勢の実現(以下ポジショニング)に苦労することが多い. 今回, ポジショニングの工夫がコミュニケーションの発達支援につながったと考えられる3症例を報告する. 【症例と経過】 (1)15歳で治療を開始した痙直型CP. 姿勢筋緊張は低く, 開始時には胸郭変形, 股関節脱臼, 閉塞性呼吸障害, 誤嚥などの二次障害を有していた. 前傾位のポジショニングにより呼吸状態が改善し環境との相互交渉が容易になった. (2)3歳の化膿性髄膜炎による...
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Veröffentlicht in: | コミュニケーション障害学 2008, Vol.25 (3), p.239-239 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】 脳性麻痺児(以下CP)や知的障害児の治療に関わるSTは姿勢保持能力の発達が認知・コミュニケーション発達の背景として重要であることを理解しているが, 適切な姿勢の実現(以下ポジショニング)に苦労することが多い. 今回, ポジショニングの工夫がコミュニケーションの発達支援につながったと考えられる3症例を報告する. 【症例と経過】 (1)15歳で治療を開始した痙直型CP. 姿勢筋緊張は低く, 開始時には胸郭変形, 股関節脱臼, 閉塞性呼吸障害, 誤嚥などの二次障害を有していた. 前傾位のポジショニングにより呼吸状態が改善し環境との相互交渉が容易になった. (2)3歳の化膿性髄膜炎による知的障害児. 外界への関心がうすかったが, ささえっこ(前傾座位保持具)を使用したポジショニングにより対物・対人相互交渉が実現しやすくなった. 保育場面で保育士や他児へ注目するなどコミュニケーションのレディネスの確立につながった. (3)11ヵ月から現在まで治療継続中の8歳のアテトーゼ型CP. 乳幼児期の抱っこやひとり遊びの際のポジショニング指導は, 食事と遊びの治療を通して円滑な母子関係を築くために有効であった. 就学前の認知発達と集団生活でのコミュニケーションの広がりを目指した支援においてはささえっこやポニーウォーカーなどの姿勢保持具を利用したポジショニングを指導した. 就学後の身体成長と活動性の高まりによる下顎の過開口などの異常性の増強に対しても, 頭を枕などにもたれさせる前傾姿勢やネックロールの使用が効果的であった. 【まとめ】 3症例で実現したポジショニングは, (1)コミュニケーションのレディネスを確立し, (2)環境を認知すること(学習)を促進し, (3)コミュニケーションの成立と伝達性を高める, 際の背景として重要な役割を担った. 特に身体の前面に支持面を築く前傾姿勢は有効と考えられる. |
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ISSN: | 1347-8451 |