I-1. 失語症患者の家族における症状理解度調査について:家族指導用マニュアル改訂にあたって

【はじめに】 当院での家族指導用マニュアル改訂に伴い, 失語症状の理解度について家族にアンケートを実施し, この結果を検討し若干の考察を示す. 【目的】 STによる家族指導が, 失語症状の正しい理解にどのように影響しているのかを探ることを目的として, 家族指導を行った群と行えていない群を比較検討する. 【方法】 対象:2008年1月現在, 当院で言語訓練を受けている患者の家族57名. アンケート内容:ST科内で議論し抽出した失語症状や対応方法20項目(理解:8項目, 発話:5項目, 書字:3項目, 失語症の機序4項目)に対し, 「はい」, 「いいえ」, 「わからない」で回答. 記載者より性別,...

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Veröffentlicht in:コミュニケーション障害学 2008, Vol.25 (3), p.235-235
Hauptverfasser: 猪股由華, 荒牧陽子, 東山毅, 白川雅之
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【はじめに】 当院での家族指導用マニュアル改訂に伴い, 失語症状の理解度について家族にアンケートを実施し, この結果を検討し若干の考察を示す. 【目的】 STによる家族指導が, 失語症状の正しい理解にどのように影響しているのかを探ることを目的として, 家族指導を行った群と行えていない群を比較検討する. 【方法】 対象:2008年1月現在, 当院で言語訓練を受けている患者の家族57名. アンケート内容:ST科内で議論し抽出した失語症状や対応方法20項目(理解:8項目, 発話:5項目, 書字:3項目, 失語症の機序4項目)に対し, 「はい」, 「いいえ」, 「わからない」で回答. 記載者より性別, 年代, 患者との続柄, STより入院・外来の区分, 失語症の重症度およびタイプ, 家族指導の有無を情報収集し, 各要因にて正答率との関連性について分析を行った. 【結果】 56名から回答を得たうち, 有効回答は53名であった. なお, 異なる解釈が可能であった第10項目を除外し, 19項目のみを分析した. STが家族指導を行った家族(A群)は29名で, 行えていない家族(B群)は24名であり, 平均得点はそれぞれ12.8と10.9で, A群が有意に高くなった. 項目別では, 5項目でA群がB群よりも正答者の割合が有意に高かった. なお, その他の要因においては正答率との関連性は認められなかった. 【考察】 A群はB群に比べ, 失語症状や対応方法における正しい理解が得られており, 家族指導の有効性が確認された. 家族指導を行ったことにより理解が高くなった項目は, 日常をともにするだけでは理解が難しく, その症状が起こるメカニズムを正しく知ることが必要であると考えられた. 家族指導にて, これらの項目をより重点的に説明していく必要性があると考えられた. 【まとめ】 家族指導を行うことの重要性が再確認されたとともに, 家族指導の項目には優先順位および重み付けを十分に行うことの必要性が示された.
ISSN:1347-8451