H-2. 軟口蓋腫瘍の外科的治療にともなう開鼻声の経過
【はじめに】軟口蓋腫瘍摘出後の開鼻声の改善のため外科的治療を行ったが, 術後生じた鼻閉感への順応が困難で, 外科的治療を繰り返した症例において, 開鼻声の経過を観察する機会を得たので報告する. 【症例】75歳男性. 自営業. 左軟口蓋腫瘍に対し, 昭和大学藤が丘病院耳鼻咽喉科において2001年10月より約2カ月間放射線治療施行. 2002年6月再発, 同年7月レーザーにて腫瘍を摘出. 術後約8mmの瘻孔および鼻咽腔閉鎖機能不全を生じた. 2003年7月当院ST初回評価. 中等度の開鼻声を認めた. 【治療および経過】2003年8月昭和大学藤が丘病院形成外科において, 頬粘膜を使用しての軟口蓋形成...
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Veröffentlicht in: | コミュニケーション障害学 2007, Vol.24 (3), p.221-221 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】軟口蓋腫瘍摘出後の開鼻声の改善のため外科的治療を行ったが, 術後生じた鼻閉感への順応が困難で, 外科的治療を繰り返した症例において, 開鼻声の経過を観察する機会を得たので報告する. 【症例】75歳男性. 自営業. 左軟口蓋腫瘍に対し, 昭和大学藤が丘病院耳鼻咽喉科において2001年10月より約2カ月間放射線治療施行. 2002年6月再発, 同年7月レーザーにて腫瘍を摘出. 術後約8mmの瘻孔および鼻咽腔閉鎖機能不全を生じた. 2003年7月当院ST初回評価. 中等度の開鼻声を認めた. 【治療および経過】2003年8月昭和大学藤が丘病院形成外科において, 頬粘膜を使用しての軟口蓋形成術施行. 同年11月軽~中等度の開鼻声を認め, 鼻咽腔閉鎖機能改善のためブローイング訓練を指導したが, その後改善はほとんど認められなかった. 2004年3月咽頭弁形成術施行. 術後, 開鼻声は顕著に改善し, ごく軽度となった. しかし, 症例は鼻閉感を強く訴え, 順応が困難だったため, 同年10月咽頭弁を切離した. 2005年10月咽頭後壁に脂肪注入による咽頭形成術施行. 術後, 鼻咽腔閉鎖機能は改善し, 開鼻声は軽~中等度となった. しかし, 次第に移植脂肪が吸収され, 鼻咽腔閉鎖機能は再び増悪. 2006年2月にはレントゲン画像上も発声時の鼻咽腔閉鎖不全が明らかであった. よって, 同年3月肋軟骨移植による咽頭形成を施行. 術後, 開鼻声は再度改善し軽度となった. 鼻閉感は生じなかった. 【考察】鼻咽腔閉鎖機能の改善に咽頭弁形成術は有効であったが, 症例が高齢である場合, 術後, 咽頭弁への順応が困難である場合がある. 従って, 開鼻声についての経過観察だけではなく, 鼻閉感などについての観察も重要であり, 患者の満足度を考慮した手術法の選択が必要である. |
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ISSN: | 1347-8451 |