I群:音声・嚥下

この群では, 音声関連2題, 嚥下関連2題が発表された. 音声障害に関する演題は従来から少ないが, 声は人間の情動とも深く関連しており, 発展が望まれる領域である. 嚥下障害はSTへの処方数が急増している領域であり, 本学会でもQOLの観点から取り上げられるようになってきた. 演題I-1(玉井)は, 発話評価の指標となる深呼吸の測定方法を示した. これに対し城本(県立広島大学)はボディーサイズによる胸郭拡張差はあるか, 座長は座位と臥位の違いについて質問した. いずれも調査報告を知らないが, 臥位では座位より拡張差が小さいと推測されると述べた. 演題I-2(城本ら)は, 北欧で行われているチュ...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:コミュニケーション障害学 2005, Vol.22 (3), p.241-241
1. Verfasser: 長谷川和子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:この群では, 音声関連2題, 嚥下関連2題が発表された. 音声障害に関する演題は従来から少ないが, 声は人間の情動とも深く関連しており, 発展が望まれる領域である. 嚥下障害はSTへの処方数が急増している領域であり, 本学会でもQOLの観点から取り上げられるようになってきた. 演題I-1(玉井)は, 発話評価の指標となる深呼吸の測定方法を示した. これに対し城本(県立広島大学)はボディーサイズによる胸郭拡張差はあるか, 座長は座位と臥位の違いについて質問した. いずれも調査報告を知らないが, 臥位では座位より拡張差が小さいと推測されると述べた. 演題I-2(城本ら)は, 北欧で行われているチューブ発声による音声訓練の効果について検討し, 女性で発声の変化がみられたことを報告した. 三田村(ユリーカ)と玉井(上智大学)から適応に関する質問があった. 過緊張性発声障害に有効と考えられる, 痙攣性発声障害には有効ではなくbotulinum toxin注入術のほうが効果が高い, 神経疾患では反回神経麻痺患者で有効とした報告がある, という回答であった. 演題I-3(五十嵐)は, 嚥下障害患者のためし食として地元特産の深層水豆腐を導入した経緯とその利点について報告した. 座長から, ためし食として使用されることの多いゼリーやヨーグルトにはそれぞれの利点があるのに対し, 一般の豆腐はばらけやすく必ずしも食べやすくない点について質問した. 通常の豆腐とは異なり楽に飲み込め, ゼリーなどと異なり食べ慣れた美味しい特産品を食べられるという喜びや意欲を引き出す効果もあると報告された. 手軽に入手できれば, 試したいと思わせられた. 演題I-4(芦辺ら)は, 脳腫瘍摘出術後嚥下障害の中学生に関して, 経口と併用して間欠的口腔経管栄養法を行いながら, 早期学校復帰を果たすことができたと報告した. 座長は, 数日前にチューブの誤挿入という医療事故の新聞報道を見たばかりだったので, 学校での挿入の安全性について質問した. 養護教諭などによって, 発声と空気の注入音聴診の二重の確認を行ったと回答した. 間欠的経管栄養法の利点が遺憾なく発揮された例であった.
ISSN:1347-8451