I-2. チューブ発声による音声訓練の試み

【はじめに】音声訓練で用いる舌や口唇のトリルなど声道の出口の狭めは, 第1フォルマント周波数の低下や発声中の声門開大時間の延長をもたらすと報告されている. 一方, フィンランドを中心とする北欧の国々では, レゾナンスチューブと呼ばれるチューブを用いた音声訓練が行われており, 前述のような生理学的な効果があると報告されている. 本研究では, チューブ発声の生理学的メカニズムとその効果について検討した. 【方法】被験者は健常男性10名(18~22歳)と健常女性10名(21~23歳)でそれぞれランダムに5名ずつ, 訓練回数を10回と20回とする群に分けた. 使用するチューブは, アルミ製で径8mm長...

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Veröffentlicht in:コミュニケーション障害学 2005, Vol.22 (3), p.220-220
Hauptverfasser: 城本修, 中村静華, 山本友紀子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【はじめに】音声訓練で用いる舌や口唇のトリルなど声道の出口の狭めは, 第1フォルマント周波数の低下や発声中の声門開大時間の延長をもたらすと報告されている. 一方, フィンランドを中心とする北欧の国々では, レゾナンスチューブと呼ばれるチューブを用いた音声訓練が行われており, 前述のような生理学的な効果があると報告されている. 本研究では, チューブ発声の生理学的メカニズムとその効果について検討した. 【方法】被験者は健常男性10名(18~22歳)と健常女性10名(21~23歳)でそれぞれランダムに5名ずつ, 訓練回数を10回と20回とする群に分けた. 使用するチューブは, アルミ製で径8mm長さ27cm. 声門の振動の状態を調べるためにKAY社製EGGを用いて非侵襲的に計測した. 訓練前後の母音/う/の発声中と訓練中にEGG波形を5秒間採取し声門閉鎖時間率(CQ)を測定し加算平均を求めた. さらに, 健常男性10名(19~23歳)についてチューブ長を54cmとして同様の手順で声門閉鎖時間率(CQ)を測定し加算平均を求めた. 【結果と考察】27cmのチューブを用いた音声訓練では, 訓練前後で男女とも統計的に有意な差は認められなかった. しかし, 女性では訓練中は声門閉鎖時間が延長し, 訓練後に訓練前よりも声門閉鎖時間が短縮する傾向があった. また, この傾向は訓練回数が増えるほど著明となる傾向があった. 一方, 男性では27cmのチューブでは訓練効果は明らかではなかった. しかし, チューブ長を倍の54cmにすると女性と同様な傾向を示すようになった. これらのことから, チューブ発声による音声訓練によって, 訓練中は声門閉鎖時間が延長し声門がしっかり閉じるにもかかわらず, 訓練後には声門がゆるみリラックスした発声に変化すると考えられた. すなわち, チューブ発声は喉頭のリラクゼーションをもたらすと推察された.
ISSN:1347-8451