E-3. ある重度心身障害児のコミュニケーション行動の経過:エピソード分析に基づいて

【はじめに】生後12日でヘルペス脳炎になった重度心身障害児に対し, 通園施設においてST, OT, PT, 保育士による4年間の関わりをもった. 月1回の頻度で行われたSTの記録からエピソード分析を行い, コミュニケーション行動の経過を検討したい. 【症例】6歳10ヵ月男児. 生後7日目に発熱, 12日目でヘルペス脳炎と診断. 左片麻痺. 2歳よりK市立通園施設に入園. 【方法】児への関わり方:本児が興味を示す物(主に楽器)を提示し, こちらから音を聞かせる, 児の自発的な動きに同調する, 動きに対して積極的に声かけをするなどでみられた反応の変化を記録結果の整理:4年間のST記録を, 「快,...

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Veröffentlicht in:コミュニケーション障害学 2005, Vol.22 (3), p.213-213
Hauptverfasser: 阿部麻理子, 赤羽根栄子, 崎原秀樹
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【はじめに】生後12日でヘルペス脳炎になった重度心身障害児に対し, 通園施設においてST, OT, PT, 保育士による4年間の関わりをもった. 月1回の頻度で行われたSTの記録からエピソード分析を行い, コミュニケーション行動の経過を検討したい. 【症例】6歳10ヵ月男児. 生後7日目に発熱, 12日目でヘルペス脳炎と診断. 左片麻痺. 2歳よりK市立通園施設に入園. 【方法】児への関わり方:本児が興味を示す物(主に楽器)を提示し, こちらから音を聞かせる, 児の自発的な動きに同調する, 動きに対して積極的に声かけをするなどでみられた反応の変化を記録結果の整理:4年間のST記録を, 「快, 不快に基づく自己刺激行動」「人やモノと自分の動きを同期させる共鳴行動」「人やモノ, 状況に向かう反応」「人やモノ, 状況に自分から向かい他者と共有する」「その他」の各反応に分類し, 年度別に割合を算出した. 【結果と考察】外界に向かわない「自己刺激行動」の減少, 「人やモノ, 状況に自分から向かい他者と共有する」の出現, 増加がみられた. 入園当時の外界の人やモノが目に映っているが『ただぐずり泣く』状態から, 人やモノに向かう「志向性のある能動的な動き」(浜田, 1992)が増え, 3年目には「人やモノ, 状況に自分から向かい他者と共有する」という三項関係の萌芽がみられるようになった. これらから重度心身障害児のコミュニケーション行動の発達的変化について療育の場におけるチームアプローチの視点も含めて今後も検討を重ねたい.
ISSN:1347-8451