C-1. 中途失聴者自身が語るコミュニケーションと心理的側面の変化
【目的】中途失聴者は, 失聴後の時間の経過の中で, コミュニケーションや心理的側面が変化することが言われている. 本報告は当事者自身の体験を当事者自身の視点からとらえることを目的とした. 【方法】(1)データ収集:成人期に失聴体験をもち, 自分の体験を振り返ってとらえられるよう失聴後約10年から20年経った3名の中途失聴者を対象とした(女性2名, 男性1名, 全員50代). 個別に約2時間の面接調査を行い, 失聴時の状況から現在までの状況を聞き取った. 発言をすべて録音し, 逐語録を作成した, (2)分析:(a)逐語録の中からコミュニケーションと心理に関する発言をすべて抜き出し, 発言内容をも...
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Veröffentlicht in: | コミュニケーション障害学 2005, Vol.22 (3), p.208-208 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【目的】中途失聴者は, 失聴後の時間の経過の中で, コミュニケーションや心理的側面が変化することが言われている. 本報告は当事者自身の体験を当事者自身の視点からとらえることを目的とした. 【方法】(1)データ収集:成人期に失聴体験をもち, 自分の体験を振り返ってとらえられるよう失聴後約10年から20年経った3名の中途失聴者を対象とした(女性2名, 男性1名, 全員50代). 個別に約2時間の面接調査を行い, 失聴時の状況から現在までの状況を聞き取った. 発言をすべて録音し, 逐語録を作成した, (2)分析:(a)逐語録の中からコミュニケーションと心理に関する発言をすべて抜き出し, 発言内容をもとにしたラベル作成, (b)内容の近いラベルのグループ化と2次ラベル作成, (c)2次ラベルのグループ化とカテゴリー作成. 【結果】分析で得られた発言カテゴリーは全部で17あった. (A)コミュニケーションに関するカテゴリー:(1)家族の障害理解, (2)家庭内でのコミュニケーション, (3)難聴への無理解に直面, (4)障害をオープンにすること, (5)周囲に理解を求めるにはまず自分の障害理解が必要, (6)コミュニケーションの困難場面への対処, (7)コミュニケーションの再発見. (B)心理的回復に関するカテゴリー:(8)否認, 不安, ショック, (9)苦悩, 無力感, (10)絶望, 孤独, (11)聞こえる人の集まりでの疎外感, (12)心のケアが必要, (13)同障者と出会って気持ちが楽になった, (14)コミュニケーション手段の学習を通じた心理的回復, (15)同障者を助けたい, (16)新しい生活の意味(価値)の再発見. (C)中核的なもの:(17)壁を乗り越えても次に壁がある. 【考察】時間の経過の中で, コミュニケーションを回復し, 新たな人生の価値を見出していくプロセスがある. このプロセスを中途失聴者自身は「壁」と表現し, 乗り越えても次にまた別の壁があらわれ, 消えることはないことがわかった. 新たな価値を見出した中途失聴者であっても, コミュニケーションと心理的状態は, そのときの状態や, その場の状況によって変化しうるものである. |
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ISSN: | 1347-8451 |