昆虫の嗅覚機能を活用したバイオセンシング技術 —カビ臭に蛍光応答を示すセンサ細胞の開発とその応用
「1. はじめに」環境にごく微量で存在する化学物質(匂い物質)を選択的に検出する匂いセンシング技術は, 麻薬や爆発物の検出といったセキュリティ用途だけでなく, 飲料水の水質管理や食品の品質管理, 疾病検査と多岐にわたってその応用が期待されている. 現在の匂いセンサは金属酸化物半導体や水晶振動子の表面上に匂い分子が吸着した際の抵抗変化や周波数変化を検出するといった工学原理にもとづく技術が一般的である. 一方, 生物の嗅覚は高感度かつ選択的に匂いを検知するセンシング技術の一つとして注目されている. 生物のなかでも昆虫は, その頭部に環境の化学情報をとらえる触角を備えており, 他の生物とは異なる特殊...
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Veröffentlicht in: | 日本農薬学会誌 2023/08/20, Vol.48(2), pp.189-192 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「1. はじめに」環境にごく微量で存在する化学物質(匂い物質)を選択的に検出する匂いセンシング技術は, 麻薬や爆発物の検出といったセキュリティ用途だけでなく, 飲料水の水質管理や食品の品質管理, 疾病検査と多岐にわたってその応用が期待されている. 現在の匂いセンサは金属酸化物半導体や水晶振動子の表面上に匂い分子が吸着した際の抵抗変化や周波数変化を検出するといった工学原理にもとづく技術が一般的である. 一方, 生物の嗅覚は高感度かつ選択的に匂いを検知するセンシング技術の一つとして注目されている. 生物のなかでも昆虫は, その頭部に環境の化学情報をとらえる触角を備えており, 他の生物とは異なる特殊な嗅覚受容体を進化させてきた. 現在, 遺伝子工学の進展に伴って受容体の遺伝子からその機能を人工的に再構築することが可能となり, 匂いの検出素子の一つとして嗅覚受容体を利用できるようになってきた. |
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ISSN: | 2187-0365 2187-8692 |
DOI: | 10.1584/jpestics.W23-29 |