遺伝子組換え技術によるトールフェスクの改良

「はじめに」日本の国土は寒地から亜熱帯まで広い気候区分に分布しており, 各地域の気候条件に応じて様々な牧草が栽培されている. トールフェスク(Festuca arundinacea Schreb. )は, 環境適応性, 永続性に優れる寒地型多年生イネ科牧草で, 寒地型牧草の中では耐暑性, 越夏性に優れるため, 温暖地及び暖地の高原草地で放牧, 採草用として栽培されている. しかし, 生育が進むにつれて葉が粗剛になり, 消化性や家畜の嗜好性が劣るのが欠点である. そのため消化性や品質の向上が育種で改良すべき最も重要な形質と考えられている. 一方, 芝草や緑化植物としてもゴルフ場のラフ, 道路の法...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:Journal of Pesticide Science 2010, Vol.35 (2), p.165-167
Hauptverfasser: 佐藤広子, 高溝正
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」日本の国土は寒地から亜熱帯まで広い気候区分に分布しており, 各地域の気候条件に応じて様々な牧草が栽培されている. トールフェスク(Festuca arundinacea Schreb. )は, 環境適応性, 永続性に優れる寒地型多年生イネ科牧草で, 寒地型牧草の中では耐暑性, 越夏性に優れるため, 温暖地及び暖地の高原草地で放牧, 採草用として栽培されている. しかし, 生育が進むにつれて葉が粗剛になり, 消化性や家畜の嗜好性が劣るのが欠点である. そのため消化性や品質の向上が育種で改良すべき最も重要な形質と考えられている. 一方, 芝草や緑化植物としてもゴルフ場のラフ, 道路の法面などで多く利用されており, 芝草品種では除草剤耐性やストレス耐性などの改良が望まれている. 遺伝子組換え技術はあらゆる生物の有用遺伝子を導入できるため, 従来の育種では不可能な新しい形質を備えた作物の開発が期待できる. 我々の研究チームでも, アグロバクテリウムによる形質転換系を確立し, 遺伝子組換え技術によるトールフェスクの消化性の改良や除草剤耐性の付与を試みている. 本稿ではその取り組みについて紹介する.
ISSN:1348-589X