除草剤ニコスルフロンの開発

ニコスルフロン(Nicosulfuron)は, 石原産業(株)によって開発されたトウモロコシ用の茎葉処理型除草剤である. 従来, トウモロコシ用除草剤は土壌処理型のアトラジン等のトリアジン系やアラクロール, メトラクロール等の酸アミド系化合物が主流を占めていた. 一般にこれらの土壌処理剤は土質, 気象等の環境要因より効果が変動し易いほか, 処理適期幅が狭く適期を逸し易い等の欠点があった. 更に従来の土壌処理剤は, 殺草スペクトラムの面からも重要雑草であるジョンソングラスやシバムギ等の多年生イネ科雑草には効果不十分であり, これら雑草の侵入によりトウモロコシが栽培できなくなった耕地も多く存在した...

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Veröffentlicht in:Journal of Pesticide Science 2000/08/20, Vol.25(3), pp.332-342
Hauptverfasser: 村井, 重夫, 坂下, 信行, 本多, 千元
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:ニコスルフロン(Nicosulfuron)は, 石原産業(株)によって開発されたトウモロコシ用の茎葉処理型除草剤である. 従来, トウモロコシ用除草剤は土壌処理型のアトラジン等のトリアジン系やアラクロール, メトラクロール等の酸アミド系化合物が主流を占めていた. 一般にこれらの土壌処理剤は土質, 気象等の環境要因より効果が変動し易いほか, 処理適期幅が狭く適期を逸し易い等の欠点があった. 更に従来の土壌処理剤は, 殺草スペクトラムの面からも重要雑草であるジョンソングラスやシバムギ等の多年生イネ科雑草には効果不十分であり, これら雑草の侵入によりトウモロコシが栽培できなくなった耕地も多く存在した. また, 有効成分量が多いことから, 連年使用による土壌蓄積や地下水汚染等の環境面への影響も無視できず, 人畜, 環境に安全性の高い茎葉処理型のトウモロコシ用除草剤の開発が渇望されていた. このような市場ニーズを背景に新規除草剤の創製研究を続ける中, 1970年代後半, 米国デュポン社よりスルホニルウレア骨格を有する化合物が極めて高い除草活性と, 植物に対して固有の選択性を有する事, かつ, これらの化合物が人畜に対しては非常に安全性が高い事が発表された1-3). 当社では新規除草剤の探索母核をこのスルホニルウレア骨格に求め, 多くの化合物を合成し, その除草活性と作物選択性について研究した. その結果, 先ず芝に選択性を有する除草剤フラザスルフロン(Flazasulfuron)の創製に成功した. その後, 本剤の物理化学的性質, 並びに環境中での挙動研究における知見を基に, 探索研究を継続したところ, 1985年に至りトウモロコシに固有の選択性を有するニコスルフロン(試験番号:SL-950)の発見に到達し, 企業化するに至った. 本報では, ニコスルフロン並びにその類縁化合物に関して合成及び生理活性面から考察するとともに, 作用性と選択性に関して明らかになった知見を報告する4-8).
ISSN:1348-589X
1349-0923
DOI:10.1584/jpestics.25.332