幼児期の子どもをもつ父親の育児関与とその関連要因

〔論文要旨〕本研究は, 幼児期の子どもをもつ父親の育児関与とその関連要因を明らかにすることを目的とした. 保育所または幼稚園の3～5歳児クラスに通う子どもをもつ父親702人に調査用紙を配布し, 有効な回収243人分の回答を分析した(有効回収率34.6%). 父親の育児関与と関連を認めたのは, 1週間の労働時間, 配偶者の職業, 職場環境(上司の理解, 同僚の理解), ソーシャルサポート(情緒, 情報)の6項目であった. 重回帰分析では, 父親の育児関与に対する, 配偶者の職業, 上司の理解, 1週間の労働時間の影響を認めた. これらを下位尺度別にみると, 配偶者の職業は〔家事〕に正の影響を与え, 上司の理解は〔交流〕に正の影響を与え, 1週間の労働時間は〔世話〕に負の影響を与えていた. 以上の結果から, 父親の育児関与において, 上司の理解や労働時間といった仕事に関する要因は, 主に子どもとの交流や世話といった直接的な育児に影響していることが示唆された. 一方, 家事に影響を与える要因は子どもとの交流や世話に影響を与える要因とは異なり, 育児期の家事が育児関与の一部であると父親に認識されていない可能性を考えた.