新型コロナウイルス感染症流行が市中病院における小児のワクチン接種に及ぼした影響

〔論文要旨〕本研究の目的は, 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行下における日本国内の一市中病院小児科外来のワクチン接種児数の変化を明らかにし, その要因と対策を考察することである. 本研究では対象機関における小児のワクチン11種類に注目し, 2016年~2019年のワクチン接種児数の平均と2020年のワクチン接種児数とを比較した. COVID-19流行後の1年間を通してみると, ロタウイルス, B型肝炎, Hib, 肺炎球菌, DPT・IPV, MR, 水痘, 日本脳炎, DTの9種類のワクチン接種児数は減少し, インフルエンザ, ムンプスの2種類のワクチン接種児数は増加した....

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Veröffentlicht in:小児保健研究 2023-05, Vol.82 (3), p.304-312
Hauptverfasser: 若林尚子, 中口尚始, 高谷知史, 本田順子, 西村範行
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:〔論文要旨〕本研究の目的は, 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行下における日本国内の一市中病院小児科外来のワクチン接種児数の変化を明らかにし, その要因と対策を考察することである. 本研究では対象機関における小児のワクチン11種類に注目し, 2016年~2019年のワクチン接種児数の平均と2020年のワクチン接種児数とを比較した. COVID-19流行後の1年間を通してみると, ロタウイルス, B型肝炎, Hib, 肺炎球菌, DPT・IPV, MR, 水痘, 日本脳炎, DTの9種類のワクチン接種児数は減少し, インフルエンザ, ムンプスの2種類のワクチン接種児数は増加した. COVID-19流行初期の報告では, 乳児に比して年長児でより顕著にワクチン接種児数が減少していたが, 本研究では乳児でより顕著な減少が認められ, 児の年齢が上がるにつれて減少幅は縮小した. これには, 本研究の対象機関がCOVID-19患者を診療しており, 乳児の保護者が病院受診によるCOVID-19罹患・重症化をより強く懸念していることが影響したと考えた. 本研究で接種児数が増加したインフルエンザワクチンとムンプスワクチンには, 対象機関のある自治体が独自の助成制度を新設していた. ワクチン接種児数の変化につながる要因の解明とそれに基づいた対策の実施には, 医療・保健・福祉・教育・行政機関の連携・協働が益々重要になる.
ISSN:0037-4113