当院における過去8年間の未受診妊婦から出生した新生児の現状
〔論文要旨〕研究目的: 本研究は, 未受診妊婦から出生した新生児の現状を調査し, 今後の対応策への参考とすることを目的とした. 研究の対象と方法: 未受診の定義は, (1)全妊娠経過を通じての産婦人科受診回数が3回以下, (2)最終受診日から3か月以上受診がない, (3)妊娠22週以降の初診のいずれかとした. 2010年からの8年間に当院で管理した未受診妊婦とその出生児を, 電子カルテから抽出した. 結果: 未受診妊婦の分娩数は195件で, 死産となった5件を除いた190件の分娩母体とその出生児191人が対象となった. 妊婦平均年齢は26.1歳で, 初産婦は56.8%, 未婚は81.1%, 一...
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Veröffentlicht in: | 小児保健研究 2021-09, Vol.80 (5), p.638-644 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 〔論文要旨〕研究目的: 本研究は, 未受診妊婦から出生した新生児の現状を調査し, 今後の対応策への参考とすることを目的とした. 研究の対象と方法: 未受診の定義は, (1)全妊娠経過を通じての産婦人科受診回数が3回以下, (2)最終受診日から3か月以上受診がない, (3)妊娠22週以降の初診のいずれかとした. 2010年からの8年間に当院で管理した未受診妊婦とその出生児を, 電子カルテから抽出した. 結果: 未受診妊婦の分娩数は195件で, 死産となった5件を除いた190件の分娩母体とその出生児191人が対象となった. 妊婦平均年齢は26.1歳で, 初産婦は56.8%, 未婚は81.1%, 一度も受診していないまま分娩に至る妊婦が42.6%であった. 当院への受診経路では, 他施設からの紹介が44.2%で最も多く, 次いで陣痛発来後の救急搬送での緊急入院が40.0%であった. 未受診理由では経済的理由が最も多かった. 低出生体重児が全体の15.2%, 早産児が12.0%を占め, 緊急手術を要する症例も認め医学的ハイリスクであった. 当院到着前の分娩が13.6%を占めた. 8年間の前半と後半で当院での頻度を比較すると, 1.4%から2.6%に増加していた. 考察: 少なくとも1回は受診した妊婦が半数以上あり, 医療機関の対応にもさらなる改善が必要と考えられる. 結論: 未受診妊婦とその出生児は, 社会的にも医学的にもハイリスクであることが再認識された. 未受診妊婦の問題は, 行政や教育も含めた社会全体の問題であるが, 未受診妊婦が減らない現状が持続しており, これらの母子に対応することは, 周産期母子医療センターの重要な使命の一つであると考えられる. |
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ISSN: | 0037-4113 |