RSウイルス感染症罹患小児看護における病態スコア作成の可能性とスコア使用の有用性

〔論文要旨〕 看護領域における疾患スコアの活用は不十分であり, 看護師が実践的に使用できるスコアの開発が期待される. 本研究では, 小児領域の主たる入院原因であるRSウイルス(RSV)感染症に対するRSV病態スコアを試験的に作成し, その有用性を検討した. RSV病態スコアは既存の呼吸器疾患スコアを参考とし, 看護師がベッドサイドで観察する項目から選択して作成した. 有用性の比較対象として修正Pulmonary Index(mPIスコア)を選択した. 協力医療機関5施設の入院患者46人について, 患者基本情報と入院時から退院時に至るまで同時スコアリングしたRSV病態スコアとmPIスコアの時系列...

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Veröffentlicht in:小児保健研究 2021-07, Vol.80 (4), p.504-512
Hauptverfasser: 黒岩志紀, 青木元邦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:〔論文要旨〕 看護領域における疾患スコアの活用は不十分であり, 看護師が実践的に使用できるスコアの開発が期待される. 本研究では, 小児領域の主たる入院原因であるRSウイルス(RSV)感染症に対するRSV病態スコアを試験的に作成し, その有用性を検討した. RSV病態スコアは既存の呼吸器疾患スコアを参考とし, 看護師がベッドサイドで観察する項目から選択して作成した. 有用性の比較対象として修正Pulmonary Index(mPIスコア)を選択した. 協力医療機関5施設の入院患者46人について, 患者基本情報と入院時から退院時に至るまで同時スコアリングしたRSV病態スコアとmPIスコアの時系列データを取得した. RSV病態スコアは, 病態改善と平行して低下し, 退院時では入院時に比し有意な低下を認めた. また, 従来有用とされているmPIスコアとほぼ同等に推移しており, さらにmPIスコアと正の相関が認められ, RSV病態スコアの有用性が示唆された. RSV病態スコアは看護師の経験年数に左右されず, 汎用可能な客観性も確保できていた. また, 1日目のSpO2値, 3日目の陥没呼吸・経口摂取, 5日目の心拍数・鼻汁が病態改善遅延の関連因子である可能性があり, RSウイルス感染症の重症予測における看護観察の重要性が示された. 本研究で, 看護師観察項目の客観的スコアへの応用が可能であることが示され, RSウイルス感染症に対する実践的病態スコア作成の可能性と, 同感染症看護領域におけるスコア使用の有用性が示唆された.
ISSN:0037-4113