災害により小児のアレルギー疾患は発症・増悪するか? ~網羅的文献検索による検証

〔論文要旨〕 目的 : 災害発生後3か月以降でもさまざまな健康被害が生じているという報告がある. 本研究では小児のアレルギー疾患に焦点を絞って, 発症頻度や増悪の程度などについて, 網羅的な文献検索により検証することを目的とした. 対象と方法 : 18歳未満の小児を災害発生後3か月以降までフォローしている研究を評価の対象とした. 評価項目はアレルギー疾患(アトピー性皮膚炎, 気管支喘息, アレルギー性鼻炎, アレルギー性結膜炎)の新規発症と症状変化とした. また参加者登録の方法や調査項目のバイアスの有無についても評価した. データベースはEmbaseを用い, 2000年以降にアメリカ合衆国で発...

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Veröffentlicht in:小児保健研究 2020-09, Vol.79 (5), p.456-465
Hauptverfasser: 目澤秀俊, 鈴木博道, 小河邦雄, 小枝達也
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:〔論文要旨〕 目的 : 災害発生後3か月以降でもさまざまな健康被害が生じているという報告がある. 本研究では小児のアレルギー疾患に焦点を絞って, 発症頻度や増悪の程度などについて, 網羅的な文献検索により検証することを目的とした. 対象と方法 : 18歳未満の小児を災害発生後3か月以降までフォローしている研究を評価の対象とした. 評価項目はアレルギー疾患(アトピー性皮膚炎, 気管支喘息, アレルギー性鼻炎, アレルギー性結膜炎)の新規発症と症状変化とした. また参加者登録の方法や調査項目のバイアスの有無についても評価した. データベースはEmbaseを用い, 2000年以降にアメリカ合衆国で発生した死亡者数の多い11の災害の固有名詞を検索語として使用した. そのほか, 既存の文献からのハンドサーチも実施した. 結果 : 評価対象となった研究は5件であった. 3件の研究で災害発生と気管支喘息の新規発症・増悪との関連が報告された. バイアス評価により1件で信頼性のある関連を認め, September 11 attacksにより5歳未満の気管支喘息の新規発症が増加した. 考察 : 研究基盤の未整備と参加者登録方法や調査項目などのバイアスのために, 災害発生と気管支喘息の新規発症との関連は限定的であることが示唆された. 結論 : 災害の慢性期の健康被害としてアレルギー疾患の発症・増悪は, 十分に検証されているとはいえず, 災害の健康被害を調査する研究基盤構築が必要である.
ISSN:0037-4113