小児循環器専門医を対象とした先天性心疾患を有する小児の予防接種に関する質問紙調査
〔論文要旨〕 先天性心疾患を有する小児(以下, 心疾患児)において, 予防接種は感染症による原疾患の増悪を軽減し, 健康の維持に重要な意味を持っている. 現行の予防接種法において, 心疾患児は要接種注意者に位置付けられ, 予防接種の実施において, 専門性の高い医療機関との連携が必要である. 本研究では心疾患児の予防接種における現状や留意点, 今後のガイドライン作成時に必要な事項などを明らかにするため, 心疾患児の診療において中心的な役割を果たしている小児循環器専門医365人を対象に質問紙調査を実施した. 質問紙は178通回収され, 40代以上の経験豊富な医師が回答者(91.0%)であった. 調...
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Veröffentlicht in: | 小児保健研究 2020-05, Vol.79 (3), p.250-258 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 〔論文要旨〕 先天性心疾患を有する小児(以下, 心疾患児)において, 予防接種は感染症による原疾患の増悪を軽減し, 健康の維持に重要な意味を持っている. 現行の予防接種法において, 心疾患児は要接種注意者に位置付けられ, 予防接種の実施において, 専門性の高い医療機関との連携が必要である. 本研究では心疾患児の予防接種における現状や留意点, 今後のガイドライン作成時に必要な事項などを明らかにするため, 心疾患児の診療において中心的な役割を果たしている小児循環器専門医365人を対象に質問紙調査を実施した. 質問紙は178通回収され, 40代以上の経験豊富な医師が回答者(91.0%)であった. 調査結果から, 心疾患児に対する同時接種の安全性については75.8%の小児循環器専門医が問題ないと考えていることが明らかとなった. 一方で, 25.8%の小児循環器専門医は, 「副反応を含め心配したことがあった」と回答し, その内容は, 接種時の痛みと啼泣が無酸素発作の誘因となることや接種後の発熱に対して注意が必要であると考えていた. 接種の判断に困った経験として, 手術後のワクチン接種の再開基準や免疫不全などの基礎疾患をもつ心疾患児の取り扱いなどが挙げられた. ワクチン接種の実施については「自身で行っている」と回答した医師は30.3%, 「自身で予防接種を行う場合もある」と回答した医師は35.4%, 「自身では実施していない」と回答した医師は12.9%であった. これらの結果から, 小児循環器専門医以外の一般小児科医がワクチン接種を実施する可能性がある. そのため, 心疾患児の予防接種においては, 心疾患児に特有の状態管理に加え, 予防接種を実施する地域のかかりつけ医との連携が重要であることが示唆された. また, 手術や薬剤投与後の接種時期の明確化などについては, 今後, 予防接種ガイドラインの心疾患児に関する項目に反映させていくための検討が必要であると考える. |
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ISSN: | 0037-4113 |