サルモネラ菌血症に伴う前胸部皮下膿瘍の1例

〔論文要旨〕サルモネラ感染症は胃腸炎, 菌血症, 敗血症をはじめとして, 腹腔内膿瘍や骨髄炎などの病巣感染症を起こすことがあるが, 皮下膿瘍の報告は少ない. 今回, 胃腸炎症状をほとんど認めず, サルモネラ菌血症および前胸部皮下膿瘍を認めた患者を経験したので, 文献的考察を含めて報告する. 症例は6歳の男児. 入院1週間前に軽度の腹痛と軟便を認め, 入院当日に前胸部痛および腫脹と発熱を認めたため入院した. 入院時の胸壁MRIから胸部皮下膿瘍と診断し, 起因菌としてグラム陽性球菌を疑いセファゾリン静脈投与を開始した. その後血液培養から Salmonella sp.O9群が検出されたため, 抗菌...

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Veröffentlicht in:小児保健研究 2019-07, Vol.78 (4), p.375-380
Hauptverfasser: 堀中千尋, 明石真幸, 細川真弓, 古市宗弘, 佐藤清二
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:〔論文要旨〕サルモネラ感染症は胃腸炎, 菌血症, 敗血症をはじめとして, 腹腔内膿瘍や骨髄炎などの病巣感染症を起こすことがあるが, 皮下膿瘍の報告は少ない. 今回, 胃腸炎症状をほとんど認めず, サルモネラ菌血症および前胸部皮下膿瘍を認めた患者を経験したので, 文献的考察を含めて報告する. 症例は6歳の男児. 入院1週間前に軽度の腹痛と軟便を認め, 入院当日に前胸部痛および腫脹と発熱を認めたため入院した. 入院時の胸壁MRIから胸部皮下膿瘍と診断し, 起因菌としてグラム陽性球菌を疑いセファゾリン静脈投与を開始した. その後血液培養から Salmonella sp.O9群が検出されたため, 抗菌薬をメロペネム, その後セフトリアキソン静脈投与に変更した. その後は発熱, 前胸部所見とも徐々に改善し, 入院16日目に退院した. サルモネラ菌による皮下膿瘍を起こす部位について過去の文献を検索したところ, 胸部の報告が31%と最も多かった. サルモネラ菌による皮下膿瘍は胸部にできることが多く, 一般的に出現頻度の低い胸部に皮下膿瘍を認めた場合には, サルモネラ感染症も鑑別に入れて治療を行う必要がある.
ISSN:0037-4113