保育園における水痘流行時のワクチン接種児と非接種児との臨床的比較 - 質問紙調査より

〔論文要旨〕 水痘は感染力が強く保育園などの集団の中で流行性耳下腺炎とともに広く流行する疾患であり, ワクチンによって予防しうる疾患(VPD:Vaccine Preventable Disease)の一つである. 保育園での水痘の流行状況, ワクチンの接種状況, 水痘のワクチン接種児と非接種児との臨床症状の比較, 罹患後の併発症等について保護者に質問紙調査を行い, 241名から回答を得た. 保護者の水痘に対する意識や水痘の流行状況, ワクチンの接種状況について検討したところ, 保護者の意識調査では, 症状が軽いから自然に罹患したほうがいいとする意見も32.8%にみられた. しかし, 質問紙回答...

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Veröffentlicht in:小児保健研究 2015-01, Vol.74 (1), p.130-135
Hauptverfasser: 岡部俊成, 飛田正俊, 竹田幸代, 高瀬真人
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:〔論文要旨〕 水痘は感染力が強く保育園などの集団の中で流行性耳下腺炎とともに広く流行する疾患であり, ワクチンによって予防しうる疾患(VPD:Vaccine Preventable Disease)の一つである. 保育園での水痘の流行状況, ワクチンの接種状況, 水痘のワクチン接種児と非接種児との臨床症状の比較, 罹患後の併発症等について保護者に質問紙調査を行い, 241名から回答を得た. 保護者の水痘に対する意識や水痘の流行状況, ワクチンの接種状況について検討したところ, 保護者の意識調査では, 症状が軽いから自然に罹患したほうがいいとする意見も32.8%にみられた. しかし, 質問紙回答者のうちワクチン接種者は45.5%(46/101)が水痘に罹患していた. 水痘ワクチン接種の有無によって水痘罹患時の症状について, 罹患年齢, 発熱期間, 最高体温, 回復までの期間, 発疹数を比較したところ, 罹患年齢と回復までの期間はワクチン接種群で有意に罹患年齢が高く, また回復までの期間は短かった. 最高体温, 発熱期間も接種群では程度が軽かった. 発疹数について比較したところ, ワクチン接種群で発疹が50個以上の児は少なく, 非接種群で有意に多かった. さらに罹患後の併発症としてのアトピー性皮膚炎の増悪や伝染性膿痂疹などの皮膚症状が, ワクチン接種群では非接種群に比べて少数であった. 今回の調査では, 水痘のワクチン接種を2回行っていた児は水痘に罹患していない1名のみであった. 1回接種では感染に対する予防効果が十分得られず, 水痘ワクチン接種後罹患が多く認められた. しかし, その症状はワクチン非接種児に比べ軽微であり, 皮膚症状などの併発症を起こす割合が少なかった.
ISSN:0037-4113