作文分析による院内学級の教育の意義の検討

〔論文要旨〕本研究では院内学級の教育の意義を捉えることを目的に, 入院中の中学生が記した149編の作文を分析した. 内容分析の結果, 院内学級の教育には入院中の学習面や心理面での向上および治療意欲向上などの治療上の効果, また自己成長や退院後の意欲向上, 教師や友だちからのサポート享受に寄与する12の意義があることが見出された. また共起分析から, 子どもたちの学習意欲と治療意欲は共に高い状態で共起していることが見出され, 医療と教育とが連携してこれら意欲への支援を深めることの重要性が示された. さらに中心性分析から, 【個別性に応じた教育の保障】や【入院中の心理適応の促進】, 【自己成長の促...

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Veröffentlicht in:小児保健研究 2013-05, Vol.72 (3), p.396-404
1. Verfasser: 高橋剛実
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:〔論文要旨〕本研究では院内学級の教育の意義を捉えることを目的に, 入院中の中学生が記した149編の作文を分析した. 内容分析の結果, 院内学級の教育には入院中の学習面や心理面での向上および治療意欲向上などの治療上の効果, また自己成長や退院後の意欲向上, 教師や友だちからのサポート享受に寄与する12の意義があることが見出された. また共起分析から, 子どもたちの学習意欲と治療意欲は共に高い状態で共起していることが見出され, 医療と教育とが連携してこれら意欲への支援を深めることの重要性が示された. さらに中心性分析から, 【個別性に応じた教育の保障】や【入院中の心理適応の促進】, 【自己成長の促進】をねらいとした支援の充実を図ることの重要性が示された. 「I. はじめに」文部省は平成6年の「病気療養児の教育について」(通知)1)の中で, 病気療養児の教育には「学習の遅れの補完と学力補償」以外にも「積極性・自主性・社会性の涵養」や「心理的安定への寄与」, 「病気に対する自己管理能力の育成」, 「治療上の効果等」の意義があることを報告している2).
ISSN:0037-4113