肥満児を養育している両親の「夫婦親密度尺度」からの検討

〔論文要旨〕小児肥満における治療の治りにくさを解決するために, 肥満児を養育している両親の夫婦関係と子どもへの意識を, 2008年に近喰らが開発した「夫婦親密度尺度」を用いて質問紙調査を行った. 対象は, 東京女子医科大学東医療センターの小児科肥満外来に通院している3~15歳までの患児の両親(父親18名, 母親26名)で, 有効回答の得られた父親8名(平均年齢44.3歳), 母親9名(平均年齢44歳)の計17名である. 夫婦親密度尺度の結果, 親関係項目は「夫婦依存型」が10名(58.8%)で最も多かった. 子ども関係項目は「子ども否定型」が8名(47.1%)で最も多く, 「子ども葛藤型」の2...

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Veröffentlicht in:小児保健研究 2012-07, Vol.71 (4), p.552-560
Hauptverfasser: 塩田桃子, 近喰ふじ子, 杉原茂孝, 本城智恵美
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:〔論文要旨〕小児肥満における治療の治りにくさを解決するために, 肥満児を養育している両親の夫婦関係と子どもへの意識を, 2008年に近喰らが開発した「夫婦親密度尺度」を用いて質問紙調査を行った. 対象は, 東京女子医科大学東医療センターの小児科肥満外来に通院している3~15歳までの患児の両親(父親18名, 母親26名)で, 有効回答の得られた父親8名(平均年齢44.3歳), 母親9名(平均年齢44歳)の計17名である. 夫婦親密度尺度の結果, 親関係項目は「夫婦依存型」が10名(58.8%)で最も多かった. 子ども関係項目は「子ども否定型」が8名(47.1%)で最も多く, 「子ども葛藤型」の2名(11.7%)と合わせると全体の58.8%は子どもに対して, ネガティブな感情を抱いていることが明らかになった. すなわち, 子どもを肥満にしてしまったのは自分の責任であると感じ, 食事管理などを行いながらも無意識的に子どもを回避する傾向が示唆された. また, 肥満治療を行う過程で患児が摂食障害へと移行したケースもあり, 肥満児治療に夫婦間を重視した集団精神療法の導入が必要であると考えられた.
ISSN:0037-4113