虐待防止からみて
「I. 児童虐待の現状と課題」1)児童虐待と虐待死の増加―通告数の増加と社会変容による増加 小児人口の減少にもかかわらず, 児童相談所の児童虐待の対応件数は1990年に1,101件, 虐待防止法施行前の1999年に11,631件, 2010年には55,152件と激増している. 虐待者の6割は実母, 2割が実父で, 乳幼児が4割を占め, 多くが治療・ケアを要する状態であるが, 8割は在宅での養育が継続されている. 増加の第1の理由は認識の広まりによる通告数の増加で, 近隣・知人, 福祉事務所, 学校, 警察からの通告が特に増加した. 第2に社会変容による養育力の低下が考えられる. すでに1982...
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Veröffentlicht in: | 小児保健研究 2011, Vol.70 (suppl), p.15-16 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「I. 児童虐待の現状と課題」1)児童虐待と虐待死の増加―通告数の増加と社会変容による増加 小児人口の減少にもかかわらず, 児童相談所の児童虐待の対応件数は1990年に1,101件, 虐待防止法施行前の1999年に11,631件, 2010年には55,152件と激増している. 虐待者の6割は実母, 2割が実父で, 乳幼児が4割を占め, 多くが治療・ケアを要する状態であるが, 8割は在宅での養育が継続されている. 増加の第1の理由は認識の広まりによる通告数の増加で, 近隣・知人, 福祉事務所, 学校, 警察からの通告が特に増加した. 第2に社会変容による養育力の低下が考えられる. すでに1982年に, 犯罪心理学者の福島章氏は虐待死の精神鑑定例の調査から, 都市化と核家族化に伴う家族の弱体化と孤立が重要要因と指摘し, 確かに2000年の全国調査は都市化と虐待発生率との関連性を示した. 虐待による死亡も心中を除くと2004年に50名, 2008年度には64名と増加し, 小児の主要死因の一つとなった. 家庭から一時的に隔離するための一時保護件数も増加している. |
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ISSN: | 0037-4113 |