P-39)司法解剖で見出された病死:高度脂肪肝による突然死
28歳男性. 自転車とともに転倒しているのを発見され救急車が呼ばれたが, 本人が搬送拒否し帰宅. 3日後に自宅で死亡していたため, 業務上過失致死および道路交通法違反被疑事件として司法解剖された. 多数の外傷が存在したがそれ自体は死因とはなりえず, 肝臓は2,480gで高度脂肪肝, ほかの諸臓器に異常はなく, 死因は高度脂肪肝と判断された. 11カ月前にアルコール性肝障害による入院歴があり, 本事例とalcoholic ketoacidosis(AKA)や大酒家突然死症候群との関連性について検討した. AKAは, 恒常的なアルコール依存状態でわずかな糖質供給をアルコールに依存していた患者がアル...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 日本医科大学医学会雑誌 2011, Vol.7 (4), p.216-217 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 28歳男性. 自転車とともに転倒しているのを発見され救急車が呼ばれたが, 本人が搬送拒否し帰宅. 3日後に自宅で死亡していたため, 業務上過失致死および道路交通法違反被疑事件として司法解剖された. 多数の外傷が存在したがそれ自体は死因とはなりえず, 肝臓は2,480gで高度脂肪肝, ほかの諸臓器に異常はなく, 死因は高度脂肪肝と判断された. 11カ月前にアルコール性肝障害による入院歴があり, 本事例とalcoholic ketoacidosis(AKA)や大酒家突然死症候群との関連性について検討した. AKAは, 恒常的なアルコール依存状態でわずかな糖質供給をアルコールに依存していた患者がアルコールすら摂取できなくなった際に発症し, 脂肪肝以外に異常所見がないとされる(Dillon, 1940). 大酒家突然死症候群は食事を摂らずに飲酒を続け, 代謝性アシドーシス, 低血糖, 高度脂肪肝などを呈して急死に至り(杠, 1995), 重症化したAKAの終末像と考えられている(伊藤, 2003). 本事例では生前の生活歴に不明な点が多いが, 血中・尿中からエタノールは検出されず, アセトンはともに高値であった. 本邦においてAKAは十分に認識されていないが, AKAとその前段階のalcoholic ketosisは救急搬送されたアルコール関連患者の43%と高頻度で見られるとの報告もあり(横山, 2002), 今後AKAへの理解がより重要になると考えられる. |
---|---|
ISSN: | 1349-8975 |