P-67)比較的軽症で非典型的経過を辿った急性散在性脳脊髄炎の診断に至った1例

目的:ADEMは自己免疫性脱髄疾患および血管炎・膠原病などの全身疾患に伴う中枢神経障害との鑑別が重要となる. 今回は典型的な症状を示さず, 除外診断でADEMの診断に至った経緯について文献的考察を含めて考察する. 症例:36歳, 男性. 感冒症状出現し近医にてfollow upされていた. その後, 体の痺れ・ふらつき, 複視出現し, 次第に増悪神経疾患の精査・加療目的で当科紹介受診, 入院となった. 入院時は髄液検査にて単核優位の細胞数増多・蛋白正常を認め, 小脳症状・下肢錐体路徴候/温痛覚障害/痺れなどを主徴としていた. ウイルス性脳炎も鑑別診断として考え, 抗ウイルス薬の点滴静注療法を開...

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Veröffentlicht in:日本医科大学医学会雑誌 2009, Vol.5 (4), p.273-274
Hauptverfasser: 梶本雄介, 熊谷智昭, 塚本和久, 滝沢まどか, 野上茜, 酒巻雅典, 永山寛, 山崎峰雄, 片山泰朗
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的:ADEMは自己免疫性脱髄疾患および血管炎・膠原病などの全身疾患に伴う中枢神経障害との鑑別が重要となる. 今回は典型的な症状を示さず, 除外診断でADEMの診断に至った経緯について文献的考察を含めて考察する. 症例:36歳, 男性. 感冒症状出現し近医にてfollow upされていた. その後, 体の痺れ・ふらつき, 複視出現し, 次第に増悪神経疾患の精査・加療目的で当科紹介受診, 入院となった. 入院時は髄液検査にて単核優位の細胞数増多・蛋白正常を認め, 小脳症状・下肢錐体路徴候/温痛覚障害/痺れなどを主徴としていた. ウイルス性脳炎も鑑別診断として考え, 抗ウイルス薬の点滴静注療法を開始, 症状は緩徐な改善傾向であった. その後頭部/脊髄MRIでは, 橋左外側~左中小脳脚・左側頭葉後部・左内包後脚・頚髄内右側に淡い高信号域を認めた. 加えて臨床経過・血液検査所見などからADEMと診断した. 残存していた下肢錐体路徴候/感覚障害に対し, ステロイド投与の方針とした. ステロイドパルスを3日施行, その後数日で感覚障害はほぼ消失し退院, さらに1ヵ月後の外来受診時下肢の錐体路徴候はほぼ消失し頭部MRIのT2高信号域は明瞭に改善していた. 考察および結論:今回はMSなどとの鑑別診断で重要な意識障害・精神症状を始めとした脳症などの典型的な症状は示しておらず, 前駆症状/白質主体の画像病変の存在や血液/髄液検査などからの感染症・膠原病などの疾患を除外診断し, ADEMの最終診断となった.
ISSN:1349-8975