P-63)無症候性高CK血症で発症し, 筋生検にて成人型ネマリンミオパチーと診断された58歳女性例
無症候性高CK血症を呈する症例に遭遇した際, しばしば診断に苦慮し筋生検の施行を躊躇するが, 今回きわめて軽微な臨床症状にもかかわらず筋生検で確定診断を得た成人型先天性ミオパチーの1例を経験したので報告する. 症例:58歳, 女性. 発育・発達正常. 家族歴として, 次男に筋疾患の疑いを指摘されたが, 未精査のまま生後10ヵ月で死亡. 56歳時, 無症候性心筋虚血にてCAG施行後より, 高CK血症を指摘された. 内服中のスタチン中止もCK500~800IU/Lにて推移し, 筋痛・筋力低下・筋萎縮は認めないが, 右上腕二頭筋の針筋電図で軽度の筋原性変化, MRI・T2強調STIR画像で軽度高信号...
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Veröffentlicht in: | 日本医科大学医学会雑誌 2009, Vol.5 (4), p.272-272 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 無症候性高CK血症を呈する症例に遭遇した際, しばしば診断に苦慮し筋生検の施行を躊躇するが, 今回きわめて軽微な臨床症状にもかかわらず筋生検で確定診断を得た成人型先天性ミオパチーの1例を経験したので報告する. 症例:58歳, 女性. 発育・発達正常. 家族歴として, 次男に筋疾患の疑いを指摘されたが, 未精査のまま生後10ヵ月で死亡. 56歳時, 無症候性心筋虚血にてCAG施行後より, 高CK血症を指摘された. 内服中のスタチン中止もCK500~800IU/Lにて推移し, 筋痛・筋力低下・筋萎縮は認めないが, 右上腕二頭筋の針筋電図で軽度の筋原性変化, MRI・T2強調STIR画像で軽度高信号を認め, 筋炎が疑われた. 同部位にて筋生検を施行し, 病理学的に, ネマリン小体(Gomori-トリクローム染色)およびtype 1線維の萎縮を認め, ネマリンミオパチーと診断した. 考察:ネマリンミオパチーは先天性ミオパチーのうち最も頻度が高く, 遺伝形式, 病型ともに多彩である. 本症例では, 発育・発達に異常なく, ミオパチーに特徴的な身体所見・症状を認めないことから, 成人型と考えられた. 成人型には, ごく軽症の良性先天型の急性増悪と, 成人発症(炎症・中毒が原因)の2型が知られているが, 本例では家族歴があることから, きわめて軽症の遺伝性ネマリンミオパチーが存在し, 50代になり顕在化した可能性が考えられた. 結論:無症候性高CK血症では, 鑑別疾患として成人型先天性ミオパチーの可能性を考慮すべきである. |
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ISSN: | 1349-8975 |