P-45)新しい切開線の提唱

目的:ケロイドは張力のかかる方向に伸展する. したがって, ケロイドの長軸は力のかかる方向を示し, 短軸は力のかかりにくい方向を示す. つまりは傷口がきれいになる切開線は, ケロイドの伸展方向と同一ベクトルである. 今回われわれは微細な原因で発生したケロイド(いわゆる真性ケロイド)を抽出し, 全身のケロイド伸展方向の分析を行い, 若干の文献的考察を加え新しい切開線の提唱を行った. 対象および方法:対象症例は362例(男性135例・女性227例, 平均年齢32.4歳)・1,034部位であった. それらの臨床写真から判断し, ケロイドの全身の分布図の各中心点からのベクトルを挿入し, 全身の伸展方向...

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Veröffentlicht in:日本医科大学医学会雑誌 2009, Vol.5 (4), p.267-267
Hauptverfasser: 赤石諭史, 大森康高, 小川令, 百束比古
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的:ケロイドは張力のかかる方向に伸展する. したがって, ケロイドの長軸は力のかかる方向を示し, 短軸は力のかかりにくい方向を示す. つまりは傷口がきれいになる切開線は, ケロイドの伸展方向と同一ベクトルである. 今回われわれは微細な原因で発生したケロイド(いわゆる真性ケロイド)を抽出し, 全身のケロイド伸展方向の分析を行い, 若干の文献的考察を加え新しい切開線の提唱を行った. 対象および方法:対象症例は362例(男性135例・女性227例, 平均年齢32.4歳)・1,034部位であった. それらの臨床写真から判断し, ケロイドの全身の分布図の各中心点からのベクトルを挿入し, 全身の伸展方向の分析を施行した. 結果:ケロイド1,034部位の伸展のベクトルは, 顔面・前胸部・肩甲部・上下肢に関しては明らかな方向性を認め, その他の部位のベクトルに関しては, 患者の体型によりややばらつきを認めた. 考察:Langer割線などに従い皮膚切開線を行った後, 創部の肥厚に悩まされることがある. 多くの切開線の基準はcadaverを用いた研究結果であり, 日常動作で全身にかかる力を示したものではないため, 部位によっては創部が肥厚しやすいことがある. したがって, 今回われわれの作成した「伸展方向ベクトル図」がケロイド体質患者の皮膚切開の新たな基準になりうると考えられた.
ISSN:1349-8975