Vol.76, No.2(2009年4月発行)気管支肺胞洗浄液の分析による肺ランゲルハンス組織球症の診断
リスクの高い肺生検なしに気管支肺胞洗浄液(BALF)の分析のみで肺ランゲルハンス組織球症(PLCH)の診断情報を提供できるか否かを検討した. 本学にて過去25年間に2,500例以上のBALを施行した. その内PLCHの臨床診断が合計20例あり, そのうち5症例は組織診で確定診断された. これらの例を臨床病理学的に再検討した. サルコイドーシス, 過敏性肺炎, 膠原病, 特発性肺線維症, 肺腺癌など23症例を対照群としてBALFの結果を比較検討した. 5症例に合計9回のBALFを施行した結果, BALFの平均回収率は42%, 平均細胞数は4.96×10 5/mLであった. 細胞分画比はマクロファ...
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Veröffentlicht in: | 日本医科大学医学会雑誌 2009, Vol.5 (2), p.143-143 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | リスクの高い肺生検なしに気管支肺胞洗浄液(BALF)の分析のみで肺ランゲルハンス組織球症(PLCH)の診断情報を提供できるか否かを検討した. 本学にて過去25年間に2,500例以上のBALを施行した. その内PLCHの臨床診断が合計20例あり, そのうち5症例は組織診で確定診断された. これらの例を臨床病理学的に再検討した. サルコイドーシス, 過敏性肺炎, 膠原病, 特発性肺線維症, 肺腺癌など23症例を対照群としてBALFの結果を比較検討した. 5症例に合計9回のBALFを施行した結果, BALFの平均回収率は42%, 平均細胞数は4.96×10 5/mLであった. 細胞分画比はマクロファージ75.2%, リンパ球8.8%, 好中球3.3%, 好酸球4.8%, ランゲルハンス細胞8.0%であった. 好酸球の頻度は1から16%でばらつきが大きいもののBALF中に一貫して認められた. リンパ球と好中球には明らかな傾向を認めなかった. PLCHにおける500個の細胞中のランゲルハンス細胞(LC)の平均出現率は8.00±4.03%であった. 肺癌を含む対照群ではLCの比率は高くても1.6%であり, PLCH症例に比べ有意に低値であった(p<0.001). これらは, LC用特殊染色S100, ランゲリン, CDIaなどの陽性率に匹敵した. 結論:BALFの標本をギムザ染色することによりLCの評価は十分に可能であった. 1)重喫煙者, 2)空洞や小結節影を伴うレントゲン所見, 3)上・中肺野より始まる間質性線維化および結節影, 4)乾性咳嗽, 軽度の呼吸困難, 気胸以外に顕著な臨床所見に乏しい, といった臨床的特徴が存在すれば, 合併症のリスクを伴う肺生検なしにBALにてPLCHの診断は確定できるとみなせた. |
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ISSN: | 1349-8975 |