演題3) ラット重症虚血肢モデルに対する豚皮ゼラチンハイドロゲルを用いた徐放化多血小板血漿(PRP)の血管新生効果の検討

「背景」:閉塞性動脈硬化症(PAD)の重症例では, 血行再建術(PTA, バイパス術など)が選択されるが, 血管床に乏しい非常に虚血が重篤である症例においては, 患肢切断となることがある. それに対する新たな治療法として, 再生医療によって患肢を切断せずに治療が可能な血管新生療法が注目されている. 血管新生を促す因子の1つには, 主に歯科再生治療の分野に用いられている多血小板血漿(platelet-rich plasma;PRP)がある. 血小板には創傷治癒に必要なPDGFやTGF-β, VEGFなどの成長因子が存在し, これらの成長因子は組織再生に重要な役割を果たし, この効果が歯科領域のイ...

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Veröffentlicht in:日本医科大学医学会雑誌 2009, Vol.5 (1), p.65-65
Hauptverfasser: 青山純也, 栗田二郎, 石井庸介, 新田隆, 清水一雄, 太良修平, 高木元, 宮本正章
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「背景」:閉塞性動脈硬化症(PAD)の重症例では, 血行再建術(PTA, バイパス術など)が選択されるが, 血管床に乏しい非常に虚血が重篤である症例においては, 患肢切断となることがある. それに対する新たな治療法として, 再生医療によって患肢を切断せずに治療が可能な血管新生療法が注目されている. 血管新生を促す因子の1つには, 主に歯科再生治療の分野に用いられている多血小板血漿(platelet-rich plasma;PRP)がある. 血小板には創傷治癒に必要なPDGFやTGF-β, VEGFなどの成長因子が存在し, これらの成長因子は組織再生に重要な役割を果たし, この効果が歯科領域のインプラント療法において血管や骨, 軟部組織の再生に応用されている. 血小板の役割に注目し, PADに対する血管新生にも応用できないかと考えた. 「目的」:末梢血から低侵襲かつ簡便に作成可能な多血小板血漿(platelet-rich plasma;PRP)は, いまだPADに対する治療法としては臨床応用されておらず, 本研究により, その効果を評価し, 閉塞性動脈硬化症の重症例に臨床応用できるかどうか検証する. 「方法」:wister(10週齢:300~320g)ラットを用い, 開腹下に左側総腸骨動脈から左下肢末梢に直径約175μmのマイクロスフィアを塞栓物として投与し, 総腸骨動脈から末梢の分枝を閉塞させることで安定した重症下肢虚血モデルを作成した. 同種ラットより採血を行い, 2回の遠心分離法でPRPを作成. そして対照群とPRP投与群を作成し, 4週間を観察期間として術後の虚血改善経過を血流ドップラーで測定し, PRPの血管新生の効果を評価した. 「結果」:重症下肢虚血モデルは術後4週間経過後も壊死・脱落することなく虚血状態を安定して維持することが可能となった. それらに対するPRP投与群は対照群と比較して, 術後2週以降には血流ドップラーにおいて, 患肢に有意な血流増加があり, 良好な血流の改善が認められた. 「結語」:今後は, 血管新生に最も効果的なPRP濃度について追究し, さらに血管新生に伴う血流量増加の評価のために, 血管造影やシンチグラフィなどの評価方法を用いて, 血管新生を可視的にも評価していく.
ISSN:1349-8975