P-33)双極性うつ病に対する電気痙攣療法後, 子宮内胎児発育遅延を合併した1例
妊婦への電気痙攣療法は安全とされているが, 双極性うつ病に対する電気痙攣療法施行後, 妊娠32週で胎児発育遅延により緊急帝王切開となった症例を経験した. 症例は38歳, 未経妊未経産. 18歳から双極性うつ病と診断され薬物加療されてきたが, 37歳で結婚を機に薬物の減量を図り, 38歳で妊娠判明後は内服休止していた. 妊娠26週に非刺激性の亢進, 易怒性が顕著となり, 自ら転院を申し出, 当院紹介. 双極性感情障害, 精神病症状を伴う躁状態が強いため医療保護入院となった. 妊娠27週から全身麻酔下による電気痙攣療法を週2~3回, 計10回施行で精神症状は軽減した. 一方妊娠29週から胎児発育が...
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Veröffentlicht in: | 日本医科大学医学会雑誌 2007, Vol.3 (4), p.242-243 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 妊婦への電気痙攣療法は安全とされているが, 双極性うつ病に対する電気痙攣療法施行後, 妊娠32週で胎児発育遅延により緊急帝王切開となった症例を経験した. 症例は38歳, 未経妊未経産. 18歳から双極性うつ病と診断され薬物加療されてきたが, 37歳で結婚を機に薬物の減量を図り, 38歳で妊娠判明後は内服休止していた. 妊娠26週に非刺激性の亢進, 易怒性が顕著となり, 自ら転院を申し出, 当院紹介. 双極性感情障害, 精神病症状を伴う躁状態が強いため医療保護入院となった. 妊娠27週から全身麻酔下による電気痙攣療法を週2~3回, 計10回施行で精神症状は軽減した. 一方妊娠29週から胎児発育が停滞し, 妊娠32週のNSTにおいてloss of variabilityが出現. 超音波ドプラ法にてMCAPI 1.36と低値, UmAPI 2.23と高値であったため妊娠32週2日にて緊急帝王切開を施行した. 児は男児, 1,084g(SFD), アプガースコア9点(1分)→10点(5分). NICU管理となったが発育は良好. 母体の産褥経過も薬物療法で良好で術後30日に退院となった. 摘出胎盤の病理組織検査で臍帯静脈内に血栓が確認され, 胎児血流異常や子宮内胎児発育遅延の原因と考えられ, 電気痙攣療法の時期と児の発育が停滞した時期が同じであることから血栓形成の一因と考えられた. 妊婦へのECTは十分なモニタリングの下で施行すべきである. |
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ISSN: | 1349-8975 |