出血性ショックに対するliposome-encapsulated hemoglobinが腸管組織酸素代謝に与える影響
「緒言」出血性ショックに引き続き起こる急性肺傷害(acute lung injury;ALI)や多臓器障害症候群(multiple organ dysfunction syndrome;MODS)は, 重症外傷患者の主要な死亡原因であるが1)2), その発生機序はいまだ解明されていない.これまでの研究により出血性ショック時に生じる臓器低灌流, 特に腸管血流の低下が遠隔臓器障害の発生に深く関わっていることが示されている3-6). 出血性ショック時には, 循環血液は脳や心臓, 肺などの重要臓器に配分されるため, 腸管血流は著明に低下し, 循環動態が改善された後も腸管虚血は持続することが知られている...
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Veröffentlicht in: | 日本医科大学医学会雑誌 2007, Vol.3(2), pp.89-95 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「緒言」出血性ショックに引き続き起こる急性肺傷害(acute lung injury;ALI)や多臓器障害症候群(multiple organ dysfunction syndrome;MODS)は, 重症外傷患者の主要な死亡原因であるが1)2), その発生機序はいまだ解明されていない.これまでの研究により出血性ショック時に生じる臓器低灌流, 特に腸管血流の低下が遠隔臓器障害の発生に深く関わっていることが示されている3-6). 出血性ショック時には, 循環血液は脳や心臓, 肺などの重要臓器に配分されるため, 腸管血流は著明に低下し, 循環動態が改善された後も腸管虚血は持続することが知られている7-11). 虚血により損傷を受けた腸管から様々な炎症性メディエーターが産生され, 腸間膜リンパ液を介して大循環に流入し, 好中球や血管内皮細胞を活性化して遠隔臓器損傷を惹起することが最近の研究で明らかとなってきた12-17). また, ショック後の蘇生輸液として人工酸素運搬体を投与することで, 引き続き発症する肺障害や多臓器不全の発症を軽減するとの報告が, この数年間になされている18-21). |
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ISSN: | 1349-8975 1880-2877 |
DOI: | 10.1272/manms.3.89 |