1)血栓性静脈炎で発症しRS3PE症候群の診断に苦慮した1例

症例は70歳女性. 脳梗塞の既往あり. 平成16年6月初旬より両下肢腫脹と疼痛が出現, 改善しないため6月23日当科受診. 初診時下肢浮腫著明, D-dimer 3.48μg/mlと高値を認め下肢静脈血栓症の疑いで入院. 入院後, 下肢静脈造影で深部静脈は正常, 下腿部表在静脈に途絶像あり, 炎症反応も認めたため血栓性静脈炎と診断. 抗凝固療法(ヘパリン, ワーファリン)と利尿剤の投与により一時的に両下肢腫脹は改善した. しかし, 経過中に再度両下肢腫脹, 膝関節痛が出現, NASIDsと利尿剤は無効であった. リウマチ因子陰性, 抗核抗体陰性, 骨X線写真では両膝関節の変形性膝関節症を認めた...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本医科大学医学会雑誌 2005, Vol.1 (2), p.93-93
Hauptverfasser: 吉田博史, 小谷英太郎, 宮地秀樹, 石川正也, 松本 真, 緒方憲一, 田寺 長, 雪吹周生, 草間芳樹, 新 博次
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は70歳女性. 脳梗塞の既往あり. 平成16年6月初旬より両下肢腫脹と疼痛が出現, 改善しないため6月23日当科受診. 初診時下肢浮腫著明, D-dimer 3.48μg/mlと高値を認め下肢静脈血栓症の疑いで入院. 入院後, 下肢静脈造影で深部静脈は正常, 下腿部表在静脈に途絶像あり, 炎症反応も認めたため血栓性静脈炎と診断. 抗凝固療法(ヘパリン, ワーファリン)と利尿剤の投与により一時的に両下肢腫脹は改善した. しかし, 経過中に再度両下肢腫脹, 膝関節痛が出現, NASIDsと利尿剤は無効であった. リウマチ因子陰性, 抗核抗体陰性, 骨X線写真では両膝関節の変形性膝関節症を認めたが骨破壊は認めず慢性関節リウマチは否定的であった. 臨床経過よりRemitting Seronegative Symmetrical Synovitis with Pitting Edema(RS3PE)症候群と考えプレドニゾロン10mgを開始したところ, 両下肢腫脹, 関節炎は短期的に著明に改善した. 本症候群は, 高齢者に比較的急速に発症し, リウマトイド因子陰性の対称性多発滑膜炎(関節炎)および手足の圧痕浮腫を特徴とするNSAIDsまたは少量のステロイドが有効な一つの症候群として1985年McCartyらが最初に報告した. 本例では静脈造影の所見を重視し診断に苦慮したが, 高齢者の下肢浮腫および関節炎症状では常に本症候群を念頭に置く必要があると考える.
ISSN:1349-8975