8)肺動脈血栓塞栓症の治療中にヘパリン起因性血小板減少症(HIT)を合併し,下大静脈フィルターに多量の血栓を認めた1例

症例は66歳女性. 平成16年9月6日, 呼吸困難を主訴に当科受診. 胸部CT, 肺血流シンチグラムにて肺血栓塞栓症と診断し当科入院. ウロキナーゼ, ヘパリン投与を開始した. 翌日の肺動脈造影検査にて両側肺動脈主幹部に血栓を認め, 選択的血栓溶解療法, 血栓破砕, 吸引術を施行. また, 右大腿静脈にも血栓を認めたため, 一時的下大静脈フィルターを挿入した. その後, ワーファリン内服を開始するもコントロール不良のためヘパリン投与を続けたところ, 入院時23.5万/μlであった血小板が第15病日に10.0万/μlまで減少し, ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)が疑われた. その後施行した下...

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Veröffentlicht in:日本医科大学医学会雑誌 2005, Vol.1 (1), p.43-43
Hauptverfasser: 岡田 薫, 石井健輔, 宮地秀樹, 時田祐吉, 吉田博史, 小谷英太郎, 田寺 長, 雪吹周生, 草間芳樹, 新 博次
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は66歳女性. 平成16年9月6日, 呼吸困難を主訴に当科受診. 胸部CT, 肺血流シンチグラムにて肺血栓塞栓症と診断し当科入院. ウロキナーゼ, ヘパリン投与を開始した. 翌日の肺動脈造影検査にて両側肺動脈主幹部に血栓を認め, 選択的血栓溶解療法, 血栓破砕, 吸引術を施行. また, 右大腿静脈にも血栓を認めたため, 一時的下大静脈フィルターを挿入した. その後, ワーファリン内服を開始するもコントロール不良のためヘパリン投与を続けたところ, 入院時23.5万/μlであった血小板が第15病日に10.0万/μlまで減少し, ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)が疑われた. その後施行した下大静脈造影検査では, フィルター遠位部が血栓により完全閉塞しており, 同部位に対し血栓破砕, 吸引術を施行し, さらにウロキナーゼ持続静注を継続した. ヘパリン投与を中止したところ, 4日後に血小板は22.7万/μlまで上昇し, その後に施行した下大静脈造影, 両下肢静脈造影では血栓は完全に消失し, 一時的下大静脈フィルターを恒久的フィルターに入れ換えた. 本症例はHITが血栓症増悪に関与し, HITTS(heparin induced thrombocytopenia with thrombosis syndrome)の可能性が示唆され, ここに報告する.
ISSN:1349-8975