早期胃癌に十二指腸カルチノイドが併存した1切除例

十二指腸カルチノイドは比較的まれな疾患とされるが, 早期胃癌をよく合併することが知られている1. しかしながら, 粘膜下腫瘍の形態をとるため, 術前の質的診断が困難であることが多い2. 今回, 早期胃癌の術前に十二指腸粘膜下腫瘍を認め, 切除標本にて十二指腸カルチノイドと診断し得た症例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する. 症例 85歳, 男性. 主訴:特になし. 家族歴:特記すべきことなし. 既往歴:1996年8月, 出血性胃潰瘍. 現病歴:1997年7月, 近医で胃潰瘍の経過観察中, 胃内視鏡検査で幽門前部小弯にIIc病変を認めたため, 当科入院となった. 動悸, 顔面紅潮, 消化...

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Veröffentlicht in:Journal of Nippon Medical School 2004, Vol.71(3), pp.198-202
Hauptverfasser: 川野, 陽一, 田尻, 孝, 秋丸, 琥甫, 徳永, 昭, 内田, 英二, 吉行, 俊郎, 吉田, 寛, 真々田, 裕宏, 谷合, 信彦, 進士, 誠一, 内藤, 善哉
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:十二指腸カルチノイドは比較的まれな疾患とされるが, 早期胃癌をよく合併することが知られている1. しかしながら, 粘膜下腫瘍の形態をとるため, 術前の質的診断が困難であることが多い2. 今回, 早期胃癌の術前に十二指腸粘膜下腫瘍を認め, 切除標本にて十二指腸カルチノイドと診断し得た症例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する. 症例 85歳, 男性. 主訴:特になし. 家族歴:特記すべきことなし. 既往歴:1996年8月, 出血性胃潰瘍. 現病歴:1997年7月, 近医で胃潰瘍の経過観察中, 胃内視鏡検査で幽門前部小弯にIIc病変を認めたため, 当科入院となった. 動悸, 顔面紅潮, 消化器症状などのカルチノイド症状は認めなかった. 術前検査所見:血液検査では, CRP5.2mg/dlのほか異常所見は認めず, 腫瘍マーカーではimmunosuppressive acidic proteinが978μg/mlと高値を示した. 血中ペプシノーゲン, ガストリン値は正常であった. 上部消化管X線透視所見では, 立位充盈像と二重造影において, 胃幽門部小弯の辺縁不整像, および十二指腸球部に直径約1cmの半球状の陰影欠損を認めた(Fig. 1a).
ISSN:1345-4676
1347-3409
DOI:10.1272/jnms.71.198